研究課題/領域番号 |
22K18634
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
佐藤 千津 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20271356)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 先住民族 / 協働的な学び / オラリティ / ポストコロニアル / 創造的学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、オラリティ実践の機能的特徴である共在性と協働性に着目し、社会関係資本の形成過程における教育・学習メカニズムを、先住民族コミュニティにおけるストーリーテリング(storytelling)の分析により明らかにすることである。具体的には、日本やオーストラリアなどの先住民族の集合的記憶に関するストーリーテリングを例に、多義的かつ多層的なオラリティ実践の相互行為のなかで社会関係資本の形成を前提とした「協働的な学び」がいかに創造され、継承されるのか、その方法と過程を分析する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、オラリティ実践の機能的特徴である共在性と協働性に着目し、社会関係資本の形成過程における教育・学習メカニズムを、先住民族コミュニティにおけるストーリーテリングの分析により明らかにすることである。従来の補償的意味合いの強いコロニアルな視点からではなく、先住民族の「権利」の視点に基づいた教員養成カリキュラムの開発を検討するなかで、先住民族出身の生徒や学生に共通する独自の学習スタイルを同定するに至った。この先住民族に共通するハビトゥスともいえる学習スタイルの特徴は、常に他者と協力して課題を解決しようとする共在性を基盤とした協働性にある。先住民族の学習スタイルの特徴をポストコロニアルな視点から捉え直し、教育の新たな理論的・概念的枠組みとそれに基づいた教育実践モデルの提示をめざすものである。 2023年度は、オーストラリアの先住民族に関する現地調査を実施し、クイーンズランド州のクイーンズランド工科大学(Queensland University of Technology)を訪問した。クイーンズランド工科大学は先住民族研究に特化したCarumba Instituteを有し、当該分野においては世界的に見て先進的な研究と実践の蓄積がある。ポストコロニアルの視点を重視した教育支援について研究と実践を行っている研究者も多く、先住民族にルーツをもつ学生の学修や、それを支える教育支援体制と具体的な支援内容などについて調査するとともに、研究協力者とミーティングを行い、今後の研究の展開可能性について打ち合わせを行った。また、先住民族の前史的な教育と生活、特に知識継承の協働性についてクイーンズランド州の先住民族関連施設を訪問し調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、オーストラリアのクイーンズランド州において先住民族の学びに関する現地調査を実施するとともに、オーストラリアの先住民族教育研究を行う日豪の研究者らと調査結果について分析を行った。それを踏まえ、今後の研究の展開可能性についても検討し共有することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、先住民族のオラリティ実践に類似した実践を有するものの、当該国・地域では原住民族や少数民族と呼称される人々の実践も研究対象に含め、教育・学習機能の普遍性の観点から分析を試みる。また、日本を含むアジア・オセアニア地域の先住民族研究、特に協働的な学びの分析に関するリサーチノードや共同ラボ等の設置を実現し、国際共同研究を効率的かつ組織的に進めたい。
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