研究課題/領域番号 |
22K18646
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黒島 妃香 京都大学, 文学研究科, 教授 (10536593)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 感情 / 情動 / 比較認知心理学 / 進化 / 霊長類 / 伴侶動物 / 自立神経関連指標 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトは複雑で豊かな感情を抱くが、ヒト以外の動物の感情世界は明らかになっていない。本研究では、多様な動物種を対象に、感情変化に伴う生理指標と行動指標の変化の時間相関分析を行い、動物が自身の内受容感覚状態を知覚しているかを検討する。これらの研究を通じて、動物種ごとの特性に合わせた計測・解析の最適解を開発し、動物の持つ多様な感情の理解、ヒトの感情の進化的起源の解明のために、多様な動物がもつ感情世界を客観的に評価する手法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
ヒトは多様な感情を抱く生き物である。しかし、感情は主体的経験であることから、ヒトのような言葉を有しない非ヒト動物はそもそも感情を有するのか、有するのであればどのように測定し、どのように定義づけることができるのかについて未だ多くの議論がなされている。近年、ヒトでは感情の変化と自律神経反応・内受容感覚の関係が指摘され、感情認識の基礎的反応として多くの実証研究が行われており、非ヒト動物においても複数の生理指標、行動指標を計測することにより、彼らのもつ感情世界を客観的に計測することが可能であると考えられる。本研究では、多様な動物種を対象に非侵襲的計測の手法を確立し、動物の様々な感情世界の解明とその進化的起源の探索を目的とする。さらに動物の感情を客観的に観測することにより、当該の動物種の感情世界を知ることは動物福祉の観点からも重要な知見になりうる。 2022年度は、広範な動物種を対象に、感情の変化を反映すると考えられる複数の自律神経関連指標と行動指標の非侵襲的計測の手法を確立し、多様な動物種が持つ感情世界を客観的に評価する手法の有効性を評価することを目的とする。本年度は、一般家庭で飼育されているイヌ、および関西盲導犬協会の協力を得て、盲導犬候補犬を対象に、見知らぬ人2名が衝立の後ろで談笑する会話(ポジティブ条件)と泣きじゃくる人を励ます人との会話(ネガティブ条件)を聞かせ、その際の行動変化(尻尾の動きや飼い主への注視行動など)と眼温度、心拍変動の解析を行った。その結果、ヒトの情動的対話がイヌの情動反応に影響することを示唆する予備的結果を得ることができた。また、関西盲導犬協会の盲導犬候補犬を対象に環境変化によるストレス反応として糞中コルチゾールと行動テストの関連を検討する実験を実施した。現在、解析段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染拡大防止策が完全には解除されていない期間ではあったが、研究参加者や研究補助者の多大なる協力により、複数の予備的データを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
家庭犬および盲導犬候補犬については、引き続き、感情状態の変化に影響を及ぼすと考えられる外的刺激を呈示し、生理反応および行動変化を計測する研究を継続すると共に、解析法の開発にも取り組む。また、新たに伴侶動物であるウマと霊長類種であるサルを対象にした研究に着手する。ウマでは市販の心拍計が販売されていることから、心拍変動、眼温度、行動変動を中心に感情に影響を及ぼすと考えられる複数の場面においてデータを取得し、イヌと同様に解析を実施していく。サルに関しては、拘束することなしに心拍計を装着することができないため、サーモカメラを用いて呼吸変化、顔面温度変化を中心にデータを取得する予定である。
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