研究課題/領域番号 |
22K18649
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 観自 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (20727086)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 自己主体感 / 行為主体感 / 遡及的変調 / 偶発的イベント / 帰属 / 視覚効果 / 偶発的 |
研究開始時の研究の概要 |
行為している感覚や外界の変化を引き起こした感覚を指す自己主体感は,行為と結果の関係性を示す感覚運動レベルと,どのような文脈で行為と結果が生じたのかという認知・社会レベルの情報が統合された結果として生じる感覚である.これまでの先行研究によると,自身の行為に対して呈示された結果(成功・失敗などのフィードバック)は,感覚運動レベルの制御情報と独立する形で,主体感を遡及的に変調する可能性がある.本研究では,自身による継続的な行為をしない状況で偶発的なイベントを含んだ様々な結果に遭遇したときに,自己主体感がどのように生成され,また変調し得るのかについて検討する.
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研究実績の概要 |
行為している感覚や外界の変化を引き起こした感覚を指す自己主体感は,感覚運動レベルの制御情報と独立する形で,遡及的に変調する可能性が指摘されてきた.本研究では偶発的なイベントに遭遇した時に,自己主体感がどのように生成され,また遡及的に変調するのかについて検討することを目的にしている.本年度は主に以下の内容に取り組んだ.
1.ゲームにおける代表的な視覚エフェクトで知られるScreen Shake(画面揺れ)が主体感の遡及的変調に与える影響を検討した.参加者は一人称視点で,画面中の剣を制御して敵を攻撃した.攻撃が当たった時に,複数のパラメータで構成された画面揺れ効果が発動した.イベント後,参加者は剣の制御に対する主体感を評価した.その結果,画面揺れ効果の程度が強いほど主体感は高くなることが分かった.ただし,画面揺れ効果が弱い条件と呈示されない条件の間に差がなかった.これらの結果から,主体感を遡及的に変調させるには視覚エフェクトに一定の強度が必要であることが示唆された. 2.3軸圧力センサを使った実験を実施するための環境セットアップを進めた.これにより,実験参加者が押したか押していないか判断できないといったあいまいな状況下でのフィードバック呈示が可能になった. 3.ストレス等で変化することが知られている皮膚電気活動に着目し,主体感が低くなる場面のときに皮膚電気活動が大きくなるのかどうかについて予備実験を行った.参加者はジョイスティックを用いて画面上のターゲットを操作し,妨害刺激を避ける課題を行った.その結果,操作時にターゲット運動に回転が加わった条件とそうでない条件では,主体感に差が生じた一方で,皮膚電気活動には差が見られなかった.これは予測誤差の検出が主体感の低下に寄与している一方で,ストレス反応とは独立,あるいは検出される水準には達していなかったことを示唆している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
皮膚電気活動を含めた課題中の生理反応を取得できる実験を開始できたこと,3軸圧力センサを使った実験環境をセットアップできたこと,特殊な視覚的効果を用いて主体感を変調させる実験を行えたことなどが理由として挙げられる.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に整備した環境を用いて,実験を継続していく.得られた成果については学会や研究会で発表を行い,並行して論文作成を進め学術誌に投稿するなど,成果の公表に努める.
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