研究課題/領域番号 |
22K18659
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
近藤 洋史 中京大学, 心理学部, 教授 (30396171)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 自律感覚絶頂反応 / ゾクゾク感 / 共感覚 / 皮膚感覚 / 情動 / オンライン調査 / ウェルビーイング / 感覚間相互作用 / 体性感覚 / 指尖容積脈波 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、自律感覚絶頂反応 (ASMR: autonomous sensory meridian response) に着目し、自律神経系の指標となる指尖容積脈波を同時に計測する。この反応は、人々の視聴覚体験にともなって頭皮や首筋に生じる、心地よいゾクゾクする感覚を指す。ASMRを手がかりとして感覚間相互作用と身体生理反応の関係を探り、ウェルビーイングをもたらすメカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
自律感覚絶頂反応 (ASMR) とは、視聴覚体験にともなって頭皮や首筋に生じる、心地よいゾクゾクする感覚である。ささやき声やタッピング音などの刺激をトリガーとして、一部の人々(ASMR応答者)はASMRを体験する。初期の研究から、ASMRは共感覚との関連性を指摘されているものの、それらを結びつける直接的な実証データが不足している。 1)調査研究: 本研究では、ASMR応答者の共感覚保有率が非応答者よりも高いのか否かを検討した。648名の社会人と学生の母集団(年齢:18歳から60歳)を対象に、ASMRと共感覚の経験に関するオンライン調査を実施した。母集団のうち、ASMR応答者は約20%であった。共感覚者と分類される人々のうち、ASMR応答者の割合が52%であったのに対し、ASMR非応答者の割合は16%であった。したがって、共感覚者の半数以上がASMRを経験していることになる。さらに、ASMR応答者の共感覚保有率は非応答者の4倍以上(22% vs. 5%)に達していた。 ASMRは視聴覚刺激と皮膚感覚が不随意的に結びついた現象である。ASMRと共感覚との併存関係を示す結果から、ASMRは共感覚の一形態であるという仮説が支持される。しかしながら、ASMRの主観的な強度は文脈や状況に依存する側面もある。また、ASMRで得られる軽い陶酔感のような情動の起伏は、共感覚では乏しい。実験に基づいた今後の研究では、ASMRと共感覚の類似点とともに、両者の相違点を検証することが重要になるだろう。 2)アウトリーチ活動: 非専門家を対象とした研究発表1件、プレスリリース1件、取材対応2件などの活動をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始の初年度から、オンライン調査を完遂して、学術論文を含む成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
ASMR体験に対する主観的な指標だけではなく、客観的な指標を得るため、研究対象者の指尖容積脈波を計測している。この指尖容積脈波は自律神経系の働きを反映している。予備的な検討は完了しており、上記の脈波データを本格的に取得している。得られたデータを着実に分析して、実りある成果とすることが次の目標である。
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