研究課題/領域番号 |
22K18664
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
玉置 應子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 理研白眉研究チームリーダー (20586276)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 睡眠 / 学習 / ニューロフィードバック |
研究開始時の研究の概要 |
本提案研究では、覚醒する人に眠っているかのような脳状態を引き起こす睡眠ニューロフィードバック技術を開発し、その効果を検証することを目的とする。近年、睡眠が覚醒時の認知活動に影響を及ぼすことが報告されている。応募者らの研究から、ノンレム睡眠は学習に関連する脳領域の可塑性を高め、レム睡眠はノンレム睡眠時に高まった可塑性を下げて学習を定着する可能性が示唆された。しかし、ヒト研究では技術的・生理学的制約があるため、現存する方法では睡眠の機能に関する仮説検証が困難である。そこで、本提案研究では覚醒するヒトに睡眠様の脳状態を引き起こす技術を開発することで制約を克服する。
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研究実績の概要 |
「ヒトはなぜ眠るのか?」この問いは何世紀にも渡って議論されてきたが、未だに統一見解に至っていない。本提案研究では、睡眠の機能を明らかにするため、覚醒する人に睡眠様の脳状態を引き起こす「睡眠ニューロフィードバック技術」を開発し、その効果を検証することを目的とする。近年、睡眠が覚醒時の認知活動に影響を及ぼすことが報告されている。応募者はノンレム・レム睡眠時の自発脳活動が、脳の可塑性(変化のしやすさ)を調節し、学習の促進(伸び)と定着(忘れにくさ)に寄与するという仮説を提案した。ノンレム睡眠は学習に関連する脳領域における可塑性を高め、レム睡眠はノンレム睡眠時に高まった可塑性を下げて学習を定着する可能性がある。しかしヒト研究では技術的・生理学的制約があるため、現存する方法では睡眠と認知機能の因果関係の検証が困難である。本提案研究では、覚醒するヒトに睡眠様の(眠っているような)状態を特定の脳領域に操作的に引き起こす睡眠ニューロフィードバック技術を開発することで、上述の制約を克服する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は主として睡眠中の脳活動を効率的・効果的に計測するための環境を構築した。本提案研究を遂行する上では、睡眠ポリグラフ(脳波を含む)と機能的磁気共鳴画像法(fMRI)の同時計測が必須である。理化学研究所の3テスラMRI環境にて、安定的に睡眠中の脳活動を取得するための同時計測環境を整えた。fMRIのスキャン中の騒音により睡眠の質が著しく低下することが知られている。より質の高い睡眠中の脳活動データを得るために、従来用いられるcontinuous EPI sequenceではなく、騒音の発生しない期間を1.2秒設けた睡眠研究用sparse samplingを開発した。さらに、同時計測により取得した脳波データに混入するMRIおよび心拍由来の2種類のノイズ(MRI gradiant artifact およびballistocardiogram artifacts)を除去する技術も構築した。健康な若年健康成人を対象として睡眠ポリグラフとfMRIの同時計測を実施した。その結果、睡眠の質を示す指標の一つである睡眠効率は80%程度と比較的高いことが確認された。MRI由来のノイズの除去も実施でき、睡眠中の脳波活動の検出が可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、取得したデータを元に睡眠中の主要な脳活動の一種である睡眠紡錘波やスローオシレーションに関するデコーダーを構築し、デコーダのパフォーマンスを評価するとともに、ニューロフィードバックの環境も構築していく。デコーダとしてはSupport Vector Machine (SVM)やSparce Logistic Regression(SLR)を用いる。各被験者には少なくとも2度は睡眠中の脳活動を取得する睡眠セッションに参加してもらう予定である。デコーダの質をcross validationにより評価するとともに、異なる日への汎化の性能も評価する。
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