研究課題/領域番号 |
22K18683
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 顕一郎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00634982)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | カイラル超伝導 / 円偏光空洞共振器 / マイクロ波 / トポロジカル超伝導 / マヨラナ粒子 / 円偏光 / 空洞共振器 / 自発磁化 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、時間反転対称性が破れたカイラル超伝導体がマヨラナ粒子をもつトポロジカル超伝導体になり得ることが分かり、基礎・応用の両面から盛んに研究されている。本研究では、マイクロ波円偏光空洞共振器を開発し、カイラル超伝導体候補物質において期待される微小な自発磁化を高感度に検出し、カイラル超伝導実現の是非を徹底的に検証する。本研究により、マイクロ波円偏光空洞共振器を構築することができれば、従来のμSR測定やKerr効果測定において問題となる試料サイズや測定感度の問題点を克服した、全く新しいカイラル超伝導体の検証方法を確立できると考える。
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研究実績の概要 |
近年、超伝導秩序変数が実部と虚部からなり、時間反転対称性を破る形で縮退したカイラル超伝導体の試料表面にマヨラナ粒子が現れることが分かり、トポロジカル量子計算への応用の観点から大きな注目を集めている。現在、カイラル超伝導体の候補物質として、ウラン系超伝導体やカゴメ格子超伝導体が精力的に研究されており、μSR測定やKerr効果測定によって自発磁化の検出が報告されているが、カイラル超伝導実現の是非についてはコンセンサスが得られていない。そこで本研究では、マイクロ波領域の円偏光を用いて、カイラル超伝導体で実現が期待されるカイラル・エッジ流による自発磁化を微小試料でも高感度に検出できる円偏光空洞共振器を開発し、カイラル超伝導実現の是非を徹底的に検証する。 本研究では、低温で動作するマイクロ波円偏光空洞共振器を用い、カイラル超伝導体の候補物質(ウラン系超伝導体UTe2やUPt3など)に対して、時間反転対称性の破れに伴う自発磁化のカイラリティ(自発電流が右回りに流れるか左回りに流れるか)を高感度に検出することを目指す。具体的には、透過型の円筒空洞共振器に位相遅れを導入できるハイブリッド・カップラーを組み合わせ、マイクロ波の出入口を入れ替えることで右回り円偏光と左回り円偏光を選択的に生成する。本年度は、室温で動作する円偏光空洞共振器の試作機を用いて、YIGの測定を行い、マイクロ波円偏光空洞共振器の動作確認を行った。次年度は低温で動作する円偏光空洞共振器を構築し、カイラル超伝導体の候補物質に対して、実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、室温で円偏光空洞共振器の動作を確認することができ、次年度以降、カイラル超伝導体の測定を行える状況にあるため。
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今後の研究の推進方策 |
カイラル超伝導体で期待される微小なカイラリティの検出には共振周波数の測定分解能が重要となるため、マイクロ波共振器のクオリティ・ファクター(Q値)を向上させつつ、研究を進める。
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