研究課題/領域番号 |
22K18684
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡村 嘉大 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (20804735)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 光起電力効果 / テラヘルツ光 / トポロジー / 強誘電体 / フォノン / シフト電流 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、バンド間遷移を起こさずフォノンを励起することによるシフト電流の観測を狙い、これまで研究が行われてこなかったテラヘルツ領域における光起電力効果の実証を行う。そのため、シフト電流の特性を考え、フォノン励起時に伴う波動関数の大きな変化が期待される物質の光電流測定を行っていく。より具体的には、大きな振動子強度を持ったソフトフォノンを有する変位型強誘電体、巨大な電子分極を有する有機強誘電体TTF-CA、さらにはポーラーな対称性を持つワイル半金属を系統的に扱うことで、より高効率な光起電力効果の実現を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、物質のトポロジカルな性質を活用することで、バンド間遷移を介さない、フォノン励起に由来した光起電力効果の観測を目指す。これまで光電流生成にはバンド間遷移が必要であると考えられてきたが、低エネルギー励起でも電子励起との相互作用を媒介することで光起電力効果が発現する可能性がある。実際に典型的な強誘電体として知られるBaTiO3やSbSIにおけるソフトフォノンをテラヘルツ光励起することで光電流の観測に成功した。さらには、光起電力効果のモード依存性・スペクトル応答・性能指数・第一原理計算との比較など、多角的な観点から学理構築を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
テラヘルツ波は、次世代通信や車載レーダーなどにも応用が期待され、今回のテラヘルツ領域の光起電力効果は、検出器への応用として非常に大きな需要がある。この帯域の検出器はボロメータと呼ばれる熱感知型のものが一般に使われているが、液体ヘリウムによって冷却し熱雑音を取り除く必要があるのに加え、応答速度も非常に遅いという問題点がある。その点、今回の方法は冷却を必要とせず、応答速度もピコ秒にも到達しうる非常の短いものになる。またフォノンに注目したが、電気分極とカップルする素励起に対してこのアイディアが適用できる可能性が示唆され、基礎科学・応用の両面から重要な現象を明らかにできた。
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