研究課題/領域番号 |
22K18719
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
西口 創 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (10534810)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 素粒子実験 / 放射線検出器 / ナノファイバー / グラファイト |
研究開始時の研究の概要 |
実験研究の現場では、研究目的実現のため時に材料開発をも要する。本研究代表者は、素粒子準理論を超えるTeVスケール物理に感度のある「ミュー粒子=電子転換過程」の探索を進めるにあたり、極めて物質量の低い飛跡検出器の開発研究を進めてきた。その構成材料は低物質量ながら気密性と導電性に優れる必要がある。そこで最新のナノファイバー技術によりポリイミドを不織布状に加工し、これを焼成することで新材料「不織グラファイト」を生み出すことに成功した。本研究では、この不織グラファイトを、ビーム標的や放射線検出器の電極などへ応用することで、次世代素粒子実験に向けた全く新しいアプローチを切り拓くことに挑戦する。
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研究実績の概要 |
大強度加速器を用いた高統計・高精度実験が、エネルギーフロンティア実験と相補的な成果を上げている。ところが、比較的低いエネルギーでの素粒子反応を扱う実験では、入射粒子が検出器の構成物質でクーロン多重散乱してしまう影響により、粒子の検出精度が制限されるという問題がある。これを回避する強力な手段が、検出器の軽量化である。そこで最新のナノファイバー技術によりポリイミドを不織布状に加工し、これを焼成することで新材料「不織グラファイト」を生み出すことに成功した。本研究では、この不織グラファイトを、ビーム標的や放射線検出器の電極などへ応用することで、次世代素粒子実験に向けた全く新しいアプローチを切り拓くことに挑戦する。R4年度は、不織グラファイトの製作条件の最適化、及び作り出した不織グラファイトを用いて各種標的や検出器電極等の試作を進める計画であったが、準備研究(基盤研究B・代表/信州大/渡邊圭)で試作した各種不織グラファイト材料が転用出来たため、R4年度中の追加焼成は実施せずに、手持ちのサンプルを用いて各種基礎特性試験を実施した。その結果、次期焼成試験の際に最適化すべきパラメータ等に関して、新たな知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
準備研究で製作した各種不職グラファイト材料が転用出来たため、R4年度に計画していた焼成試験等を行うことなく、材料に関する基礎特性試験を想定より早い段階で進めることが出来た。そこで、R4年度に予定していた焼成試験に係る経費はR5年度に持ち越し、R4年度に実施した基礎特性試験の結果をフィードバックすることで、より効率的に焼成条件の最適化を進めることが出来る見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度には、R4年度の試験結果に基づき、各種焼成パラメータを最適化した上で、新たな不職グラファイトサンプルを製作する。その際、焼成前の不職ポリイミドにおける各種特性(特に電気伝導度とナノファイバーの稠密度)が、焼成後にどう変化するか計測し、これらを体系的に理解し、焼成後サンプルの組成の制御を確立することを目指す。また、それらの不職グラファイトサンプルを用いてパイオン生成標的、およびミュオニウム生成標的、検出器高電圧印加部の電極等の試作を行う。R6年度には、いよいよそれら試作へ対するビーム照射試験へと進める。
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