研究課題/領域番号 |
22K18728
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
市原 美恵 東京大学, 地震研究所, 准教授 (00376625)
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研究分担者 |
行竹 洋平 東京大学, 地震研究所, 准教授 (20435853)
松本 聡 九州大学, 理学研究院, 教授 (40221593)
栗原 亮 神奈川県温泉地学研究所, 研究課, 技師 (50880837)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 火山噴火予測 / 微動 / 背景地震ノイズ / 火山観測 / 火山 / マグマ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究が対象とする火山性微動は,夜間の静寂時に背景ノイズレベルとして検出できる微弱なものである.この微動をSeismic Background Level (SBL)微動と呼ぶ.SBL微動は噴火の前駆過程や終息を知る手掛かりを与えると期待している.本研究は主に霧島火山において,SBL微動の実態とメカニズムを明らかにするために,定常観測点のデータを利用したモニタリング,ターゲットを絞った機動観測による震源位置推定,そして気象・火山・地震に関連する多項目観測データとの相関関係の調査を行う.また,国内外の活動的火山においてSBL微動の解析を行い,その普遍性を探る.
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研究実績の概要 |
本研究が対象とする火山性微動は,夜間の静寂時に背景ノイズレベルとして検出できる微弱なものである.この微動をSeismic Background Level (SBL)微動と呼ぶ.
霧島火山では,2011年と2017-2018年に新燃岳においてマグマ噴火が発生し,それに先行する数か月から1年のあいだSBL微動の成長が見られている.特に,2018年噴火について,多項目観測データや論文として発表されているデータと比較した.その結果,2017年噴火に先行するSBLは,新燃岳の北西約5kmにある,霧島火山群の別の山体(硫黄山)のガス放出活動と連動していることが分かった.そして,2017年噴火直前から,顕著な連続微動として新燃岳直下の活動が始まり2018年噴火に至っている.2018年3月の噴火後に再び硫黄山の活動に移り,硫黄山の水蒸気噴火に至った.関連して,2008年~2019年の新燃岳と硫黄山の地震活動の再解析を行った.霧島火山の硫黄山から新燃岳西方にかけて地震の臨時観測点を引き続き運用し,データを収集した.
箱根火山では,SBLの長期間解析を行った.2014年1月から2023年8月までのデータを解析し,2015年の噴火後の約1年間と2022年から2023年にSBL微動が発生しており,いずれも自動検出されないような微小な地震が増加していた時期である.この微動は,地熱活動のある大涌谷近傍の観測点でのみ見られている.また,SBL解析を火山監視に実用化するため,気象庁と協力して草津白根火山および伊豆大島火山の長期解析を実施した.草津白根山では,他の観測から報告されている火山活動の盛衰と整合的なSBLの時間変化が確認された.一方,伊豆大島では全体としてSBLが高く,海洋島火山の監視にSBLを適用する際の問題点が明らかになった.これらの結果について,本プロジェクトの研究グループで議論を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4つの火山においてSBLの長期解析を実施することができ,SBLが火山活動の把握に有用であることが実証されつつある.霧島火山については,十分な観測データが蓄積されているが,今後解析を進める必要がある.連続振動を引き起こすメカニズムについても研究が進められた.
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今後の研究の推進方策 |
霧島火山の臨時観測点データについてSBL解析を実施し,活動する二つの火山体(新燃岳,硫黄山)のSBL活動の推移を明らかにする.そして,SBL微動の発生モデルを提案する.箱根火山や草津白根火山については,他機関の観測データや臨時観測点のデータを合わせ,SBL微動の増減と火山活動の関係を明らかにする.伊豆大島火山については,海のノイズを分離する手法の検討を行い,今後,SBL解析を海洋島火山へ応用する道筋をつける.
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