研究課題/領域番号 |
22K18729
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
澤木 佑介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (00635063)
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研究分担者 |
浅沼 尚 京都大学, 人間・環境学研究科, 講師 (90852525)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | ジルコン / 局所ケイ素同位体比 / 冥王代 / プレートテクトニクス |
研究開始時の研究の概要 |
プレートテクトニクスは地球表層で起こる諸現象を支配する重要な地質現象である。1950年代以降、数多の研究が為されたが未解明課題も多い。その一つがプレートテクトニクスの開始時期である。これを制約する事は、地球が経てきた熱史や、地球でのみプレートテクトニクスが起こる原因解明などの重要課題にも波及する重要な研究テーマである。我々が持つ技術的優位性(局所珪素同位体分析)及び物質的優位性(冥王代ジルコンの保持)を生かし、誰もなし得ていない冥王代(40億年前以前)のプレートテクトニクスの有無を再検証する。
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研究実績の概要 |
現在の地球表面は十数枚のプレートに分かれており、いずれのプレートも絶えず側方運動しており、これをプレートテクトニクスと呼ぶ。1950年代にその理論が提唱されて以降、数多の研究が為されたが未解明課題も多い。その一つがプレートテクトニクスの開始時期である。理論的予測からは地球形成直後は硬殻型対流であり、その後プレートテクトニクスに移行したと考えられている。両対流様式では地球表層及び深部域の物質循環に決定的な違いがあり、プレートテクトニクスでは大量の地球表層物質がマントル深部へと運ばれる。そのため、初期地球の岩石記録から表層物質の深部輸送の痕跡を得る事ができれば、プレートテクトニクス駆動の揺るぎない物的証拠と言える。地球表層で形成される堆積岩は高い珪素同位体比を持つ。深部で形成される年代既知の深成岩及びその中の鉱物中に高い珪素同位体比を見つける事ができればプレートテクトニクスへの移行時期に制約を与えられると考えた。 本研究では(1)ジルコン局所珪素同位体測定の高精度化、(2)ジルコン珪素同位体の有用性の実証、(3)初期地球ジルコンへの応用の3段階の研究を計画している。(1)については下記の進捗状況の部分でその詳細を述べる。(2)については、日本の中新世花崗岩からジルコンの分離は追加し、準備は終えたものの、(1)の進捗が芳しくないため、珪素同位体比測定には至っていない。(3)については太古代の年代を示すジルコンを追加する事ができたが、(2)同様珪素同位体比の測定には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現状、LA-MC-ICP-MSによる局所珪素同位体測定の高精度化のためにバックグラウンドの低減が不可欠である。主なバックグラウンドの要因は装置周辺のガラス部品(SiO2)の気化にあり、全てのガラス器具をサファイア製(Al2O3)へと変更することで(S/N比)の向上に努めた。しかし、トーチをサファイア製に変更したところ、分析に必須のプラズマが点灯しないというアクシデントに見舞われ、これが改善できないままとなっている。分析に用いるジルコンの用意は進行しているものの、肝心の分析面の進展が乏しいため、遅れている、という進捗状況を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ジルコン局所珪素同位体測定の高精度化に努める。まずはプラズマが点灯するように試行錯誤を繰り返し、加えて、シグナルを上昇させるためにレーザー照射条件等も最適条件を探求する。一方で、高精度な分析を行うためには50ミクロン四方程度の、それなりの大きい照射領域が必要である事が、高精度化の過程で分かってきた。既に分離したジルコンはあるものの、大きい粒子の数が充分とは言えないので、既存の岩石から再度大きいジルコンを探す事を試みる。全球性を議論するために、ミシシッピ川河口の砕屑性ジルコンから太古代前期の年代を示すジルコンは見つけた。今後もジルコン分離を試みる。
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