研究課題/領域番号 |
22K18733
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 聡 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90392969)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 可降水量 / 水蒸気 / 降水現象 / 雲カメラ / リモートセンシング / マイクロ波放射計 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、1分毎、高度100m毎の高時空間分解能で大気中の水蒸気量を推定できる新型マイクロ波放射計と2分毎に全天の雲画像を撮影できる雲カメラを用いた白浜・潮岬での定点観測と同測器を搭載した車両による3点同時観測によって、降水直前の数km、数十分の間に潜む詳細な水蒸気・雲分布の4次元変化を捉え、降水が地上に達する直前までの大気場の変動と、現実大気中での水蒸気、雲、降水に至る過程の実態解明に挑む。
|
研究実績の概要 |
降水直前水蒸気場の分単位の時間変化を観測的に捉え、その実態を明らかにするため、地上設置型マイクロ波放射計と全天雲カメラによる高頻度水蒸気・雲観測とデータ解析を実施した。2022年度は、京都大学防災研究所白浜海象観測所本館屋上にマイクロ波放射計・雲カメラを設置し、連続観測を開始した。これにより、2020年8月から観測を続けている潮岬風力実験所、2021年12月からの潮岬風力実験所公用車での観測と合わせて、紀伊半島南西沿岸の水蒸気・雲の高頻度連続観測体制を構築した。潮岬風力実験所公用車では月1~2回の頻度で白浜~潮岬間を往復し、移動中の水蒸気量連続観測による紀伊半島南西沿岸に沿った水蒸気分布を観測した。2022年11月には潮岬風力実験所にて数時間毎に計6回のGPSゾンデ観測を実施し、マイクロ波放射計の水蒸気鉛直プロファイル精度検証のためのデータを取得した。さらに、2020年から約2年間分の潮岬風力実験所でのマイクロ波放射計・雲カメラ観測を元に、降水直前1時間の水蒸気量変化を解析した。感雨計と雲カメラから降水開始時刻を正確に特定できた70事例を解析した結果、降水までに水蒸気量が増加する事例が51事例、減少する事例が19事例存在した。減少事例の解析の結果、雨雲が対流圏中層に存在し、上空の風速が地上より速い場合、地上で降水が観測される時には雲域が通過してしまっている現象が水蒸気量の減少として捉えられていることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
京都大学防災研究所白浜海象観測所本館屋上に、マイクロ波放射計・雲カメラを設置することで、潮岬風力実験所本館屋上及び 潮岬風力実験所公用車による3点同時観測が実現した。これにより、1点観測では捉えられなかった水蒸気水平構造も捉えることができ、降水前の水蒸気変化を立体的に観測できるようになった。また、ヘリウムガスの供給減と高騰にもかかわらず、潮岬で6回のGPSゾンデ観測ができた。気象庁の潮岬でのゾンデ観測が機器の不具合のため中止されており、貴重なゾンデ観測データを得られた。また、潮岬風力実験所で2年間蓄積された観測データを解析し、降水直前でも水蒸気量が減少する事例が一定数あること、及びその要因の一部を明らかにできたのは大きな進展である。
|
今後の研究の推進方策 |
白浜海象観測所、潮岬風力実験所、潮岬風力実験所公用車による3点同時観測を継続し、紀伊半島南西沿岸における降水前の水蒸気変動を立体的に捉える。公用車観測での障害物による観測精度低下を調査し、観測データの品質管理手法の開発に取り組む。潮岬風力実験所にて、20回程度のGPSゾンデ観測を実施し、マイクロ波放射計の水蒸気量精度評価と風・気温・高度場の変化を観測する。
|