研究課題/領域番号 |
22K18734
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯尾 能久 京都大学, 防災研究所, 名誉教授 (50159547)
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研究分担者 |
土井 一生 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00572976)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 断層の強度 / 間隙水圧 / 粘性流動 / 応力緩和 / 長野県西部 / 前震 / 地震活動 |
研究開始時の研究の概要 |
断層に働く水圧が高いために、地震を起こす応力の大きさが非常に小さくなるとう考えが広く認められているが、地震を起こす断層では、高い水圧を長期間保持することは一般的には極めて困難である。本研究は、断層面に働く水圧が定常的に高くなくても断層の強度が小さく、地震の発生も説明可能な、地震とその発生場に関する新しい考え方を示し、それを実際の地震観測データで検証するものである。
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研究成果の概要 |
断層に沿って孤立した塊状の粘弾性領域を分布させることにより、高い間隙水圧なしに、地震性の断層を弱く出来る新しい断層モデルを構築した。長野県西部地域において2017年に発生したM5.6の地震の断層の上下の端付近において、地震前に差応力が非常に小さかったことを見出した。この付近では地震波の低速度域が見いだされており、水の効果による非弾性変形により応力緩和した可能性が示唆される。M4クラスの地震の前震活動において、震源分布に塊状のものがあることや震源移動の途中に分布の飛びが見られることから、前震がカスケード的に発生したのではなく、水の効果により起こされたことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、地震を起こす応力は、従来の定説より桁違いに小さいことが明らかになってきた。その原因として、断層に働く間隙水圧が非常に高いという考えが定説となり、あらゆる現象が高間隙水圧に絡めて説明されている。しかし、地震を起こす断層で高い間隙水圧を長期間保持することは一般的には極めて困難という矛盾が存在していた。高い間隙水圧なしに地震性の断層を弱く出来る断層モデルが構築されたことにより、生起している現象を素直に解釈することが可能となる。地震の発生に関する水の役割についても、客観的な議論や調査研究が進むことにより、災害の軽減に資する地震の発生予測に関する研究が一段と進展するものと期待される。
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