研究課題/領域番号 |
22K18740
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
齋藤 義文 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (30260011)
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研究分担者 |
淺村 和史 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (50321568)
菅原 春菜 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 特任助教 (50735909)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ガスクロマトグラフ質量分析計 / 重力天体着陸探査 / アミノ酸 / 鏡像異性体 / 3回反射リフレクトロン型質量分析器 / 誘導体化 / 湿式化学処理 / 飛翔体搭載機器 / 生命起源物質 / 有機物分析 |
研究開始時の研究の概要 |
地球外の天体において有機物の種類を特定することは、生命起源物質の進化・移動過程を理解するとともに、地球外での生命活動の可能性またはその痕跡を探るために必須である。本研究では、重力天体着陸探査機への搭載を目指した超小型ガスクロマトグラフ質量分析計を開発するために、超小型ガスクロマトグラフ質量分析計を実現する上で鍵となる部分の開発を重点的に行い、試験モデルを製作した上で、鏡像異性体を区別したアミノ酸の分析を行えることを実証する。本研究で、人工飛翔体搭載可能なガスクロマトグラフ質量分析計の開発に目処をつけることができれば、近い将来に日本でも実現される重力天体の着陸探査に向けて大きなステップとなる。
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研究実績の概要 |
本研究では、超小型ガスクロマトグラフ質量分析計を実現する上で鍵となる部分の開発を重点的に行い、試験モデルを製作した上で、鏡像異性体を区別したアミノ酸の分析を行えることを実証する。この目的を達成するためには、以下の4つの要素項目の開発が必要となる。1番目は、搭載可能なリソースで実現可能なガスクロマトグラフ(GC)部、2番目はGC部と質量分析部を繋ぐGC-MSインターフェース(GC-MS IF)部、3番目は搭載可能なリソースで実現可能な質量分析(MS)部、そして4番目は搭載に適したアミノ酸の誘導体化手法の開発とその実証である。 1年目の2022年度は、MS部の改修を実施し、GC部の試作を開始する予定であったが、ガスクロマトグラフ(GC)部の設計に一部問題が見つかったため設計のやり直しを実施した結果、試作は2023年度に開始することに計画を変更した。またこれに伴い、MS部の改修についても試作するGC部の構造に合わせて改修する必要があることから、改修の主要な部分は2023年度に実施することとした。2022年度は、GC部を接続した後に実施するGC-MSの特性取得試験に備えて、MS部の性能をできるだけ上げておくための改良を行うことにした。具体的には、検出器について、将来の衛星搭載に向けて打ち上げ時の振動に耐えることのできる構造を持ち、高速の出力信号を反射させることなく処理することのできるMCPを市販のMCPの構造を変更して製造した上で、その性能試験を実施して十分な性能を持つことを確認した。また、MS部の質量分解能をできるだけ高めておくため、(飛行時間測定のために入射した中性粒子を電離して生成した)イオンの飛行を開始する加速部の出口にスリットを置き、飛行経路を制限することで質量分解能を高めるための試験を実施して最適なスリットの径を決めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目の2022年度は、MS部の改修を実施し、GC部の試作を開始する予定であったが、ガスクロマトグラフ(GC)部の設計に一部問題が見つかったため設計のやり直しを実施した結果、試作は2023年度に開始することに計画を変更した。またこれに伴い、MS部の改修についても、試作するGC部の構造に合わせて改修する必要があることから、改修の主要な部分は2023年度に実施することとした。また、共同研究者のうち1名が、約1年間の産休を取ることとなったため、その共同研究者が復帰するまでの間、研究の全体計画を見直して、研究代表者と共同研究者1名の体制で前倒しで実施できる部分について2022年度に実施することにした。具体的には、2022年度は、GC部を接続した後に実施するGC-MSの特性取得試験に備えて、MS部の性能をできるだけ上げておくための改良を行った。これにより、研究計画全体としては、やや遅れを生じたものの、今後、遅れを取り戻すことができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的を達成するためには、4つの要素項目の開発が必要となる。1番目のGC部については、キャピラリーカラムの各部における温度ムラを抑制するため、金属プレートとシートヒーターを用い、多点での温度測定結果を用いたフィードバック制御を行うことで小型化と温度ムラの抑制を実現する。3番目のMS部については既に試験モデルを製作済の3回反射リフレクトロン型質量分析器を利用し、GC-MS IF部との接続のために必要となる改修を行う。2番目のGC-MS IF部は、上記のGC部とMS部を接続するための機構であり、GC部から出力される試料の圧力を下げ、配管への吸着を極力抑えてMS部に送り込むように設計・試作する。4番目の搭載に適したアミノ酸の誘導体化手法の開発とその実証については、本研究では、宇宙機上での処理に適した筒状の燃焼管の中に誘導体化試薬を封入し、試料を投入後に加熱して誘導体化する手法を開発する。また、幅広い有機分子に対応可能な汎用的な手法に加え、アミノ酸の光学異性体の分析に特化した誘導体化手法の開発を目指す。 2年目の2023年度には、2022年度に実施予定であったGC部の試作と並行して、予定通り、GC-MS IF部の設計・試作を行う他、搭載に適したアミノ酸の誘導体化手法の開発を行う予定である。ただし、2022年度に予定していたGC部の試作を2023年度に実施するのに伴い、2023年度に予定していた誘導体化燃焼室の試作は2024年度に遅らせることにした。3年目の2024年度には、誘導体化燃焼室の試作後、搭載に適したアミノ酸の誘導体化手法の試験を実施し、これと並行してGC-MS全体の性能試験を実施する計画であり、2022年度に発生した遅れは取り戻すことができる見込みである。
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