研究課題/領域番号 |
22K18741
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
牛久保 孝行 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (10722837)
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研究分担者 |
富岡 尚敬 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30335418)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 隕石 / コンドルール / 酸素同位体 / SIMS / 二次イオン質量分析計 / 原始惑星系円盤 |
研究開始時の研究の概要 |
今から45億年以上前に太陽と地球を含む惑星系が形成された時には、原始惑星系円盤という塵とガスから成る円盤構造が太陽の周りに作られて、その円盤の中で小さな塵が合体・成長してやがて惑星になったと考えられている。この円盤の中で小さな塵の粒子がどんな風に移動しながら成長したかを知る事が、現在の太陽系の姿がどうやって形作られたかを知る鍵になる。 本研究では、隕石に数多く含まれるコンドルールと呼ばれる小さな球状の粒子の特徴を調べることで、原始惑星系円盤の中で小さな塵の粒子がどんな振る舞いをしていたかを明らかにすることを目指している。
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研究実績の概要 |
令和5年度は小惑星リュウグウ試料から見つかったオリビンとパイロキシン結晶粒子の酸素同位体比分析を行った。リュウグウ試料は炭素質コンドライトの一種と考えられるが、その中でも太陽から最も遠方の領域で形成された母天体を起源に持つ可能性があること、リュウグウ試料に含まれるコンドルールは彗星コンドルールと同様に非常にサイズが小さいコンドルールが卓越し、本研究が目指す炭素質コンドライトに含まれる微小コンドルールと同一の起源である可能性がある。分析結果は令和6年度に共同研究者が国内外の研究会で発表する予定で、そこでの議論を踏まえて論文作成をする予定でいる。その他、微小コンドルールの存在量が多いことが知られているCHコンドライトの酸素同位体比の特徴について論じた論文を作成し、現在投稿中である。 微小コンドルール分析に適した隕石試料の検討については、まず国立極地研究所を訪れてコレクションを確認したが、研究を実施するのに十分な量の薄片試料を見つけることが出来なかった。そこで、砂漠で発見された隕石及びNASAが所有する南極隕石コレクションを検討し、有望な隕石試料についてNASAに薄片試料貸与の追加申請をした。砂漠で発見された隕石で特に保存が良く有望な隕石試料を入手した。 また、研究協力者と共同で行った原始惑星系円盤でコンドルールが形成される過程においてコンドルールが周囲に存在する水分子の同位体比情報を獲得する物理過程に関する研究成果を論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
極地研究所が所有する南極隕石試料の中に分析に適した試料について十分な数を見つけることが出来ず研究の進行が遅れている。そのため、NASAの南極隕石試料と砂漠隕石試料に観察範囲を広げて隕石試料を取得することにした。小惑星リュウグウ試料から小型のコンドルールに由来すると考えられる無水珪酸塩鉱物が数多く見つかったことから、これらリュウグウ試料の分析を優先して行った。リュウグウ試料は炭素質コンドライトの中でCIコンドライトに近い物質と考えられており、彗星物質と典型的な炭素質コンドライト物質中間的な特徴を持つと考えられており、炭素質コンドライトのコンドルール研究をする上でも重要な比較データを得ることが出来た。この研究成果は令和6年度に国内外の研究会で発表予定である。 水分子とコンドルールとの同位体比交換メカニズムに関して物理的に考察した研究について論文発表したほか、CHコンドライトのコンドルールの酸素同位体比の特徴をまとめた論文原稿を投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は極地研、NASAから貸与される南極隕石試料と砂漠隕石試料を取得し、鉱物学的観察と同位体比分析を行う。CVコンドライトを分析対象として、研究協力者のグループに所属する大学院生にも参画してもらい、試料観察と同位体比分析を分担して研究を進める。年度末までにCVコンドライトの微小コンドルールの酸素同位体比の特徴をまとめ、一般的な大きなコンドルールとの酸素同位体比との差異を明らかにする。
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