研究課題/領域番号 |
22K18742
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
桑谷 立 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), グループリーダー代理 (60646785)
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研究分担者 |
日野 英逸 統計数理研究所, モデリング研究系, 教授 (10580079)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | XRFコアスキャナ / 統計分布 / 地層対比 / 機械学習 / データ駆動 / 層序学 / 掘削コア / パターンマッチング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,地球化学・層序学の知見を導入しつつ,最新の機械学習技術を用いることで,地層の客観的対比を自動的に行う枠組みの構築を目的とする.具体的には,XRFコアスキャナ―(蛍光X線により試料の元素濃度空間変化を連続的に高速計測する装置)から得られる多元素・大量の地球化学データなどを対象とし,津波堆積物層や火山灰層などの注目するイベント層の自動抽出を可能とするとともに,最終的には,複数掘削コア間の自動層序対比を実現する.
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研究実績の概要 |
当初研究実施計画中の【項目1】目的層の自動検出に取り組んだ.本項目では,注目する目的層を指定し,その目的層に対応する層を,指定した一つもしくは複数の掘削コア中から検出する方法を開発することを目的としている.また,実データ解析として,研究協力者らと連携し,仙台平野のジオスライサー掘削XRFコアスキャンデータを対象として津波堆積物層の自動検出と水平方向の広がりを把握することも目的としている.本年度は,特に,地層境界は既に与えられているものして,注目する地層同士を定量的に対比する手法の開発に焦点を当てた.具体的な実績を以下に示す. 1.XRFコアスキャナにより得られる大量の多元素カウントデータが持つ統計分布の形状の類似性を基に,地層同士を定量的に対比する基礎手法を開発した.類似性の定量的な基準として,カルバックライブラーダイバージェンスに代表される確率分布間の距離尺度を採用した.今回は,元素カウントがガウス分布に従うことを仮定した解析を実施した. 2.提案手法に関する概念実証のためのデータ解析を行った.はじめに,人工的に作成した元素カウントデータを用いた解析を実施することで,元素カウントの統計分布が類似した地層を,提案手法により検出することが可能であることを示した.次に,宮城県東松島市で得られた掘削コアスライスデータを対象とする実データ解析を行った.その結果,津波堆積物層などを含む,注目する地層に対比される地層を検索先のコアデータからの検出できることが確認された.また,複数枚の地層に適用することで,提案手法が掘削コア同士の層序対比に有効であることを示す解析結果が得られている. 本年度は,以上の解析結果をまとめ,「地学雑誌」誌に投稿した結果,論文の受理が決定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手法開発および検証が完了し,投稿論文が受理されたため.
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今後の研究の推進方策 |
手法開発および成果発表が順調に進んでいることから,これまでと同様に,当初研究計画に沿って研究推進を継続する. 今後の具体的な研究課題の一例として,現状の手法では,地層対比の基準としてガウス分布を仮定した統計分布対比を行っているが,今後は,実データが示すような多様な頻度分布形状に対応するために,機械学習分野における最適化輸送問題の知見を導入して,手法の高度化を検討する.
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