研究課題/領域番号 |
22K18748
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分18:材料力学、生産工学、設計工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
土方 亘 東京工業大学, 工学院, 准教授 (30618947)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 体内発電 / 骨格筋 / 筋収縮モデル / 刺激電圧 / 環境発電 / エレクトレット / 機能的電気刺激 / 静電誘導 / 骨格筋刺激制御 / 筋疲労モデル |
研究開始時の研究の概要 |
埋込型医療機器や,未病発見技術に必須の体内IoTセンサなどでは,体内での電源確保が喫緊の課題であるが,従来の工学的知見ではこの課題を解決できていない.そこで,骨格筋に電気刺激を与えることで,筋肉が体内グルコースを収縮力(力学的エネルギー)に変換し,体内発電機でこれを更に電気エネルギーに変換する発電システムを開発する.特に,筋収縮として外部電気刺激時のみ誘発可能な不完全強縮を用いると飛躍的に発電量が向上可能であると見出している.そこで本研究では,「不完全強縮を用いた骨格筋の最適刺激制御法の確立」,「不完全強縮のダイナミクスを考慮したマイクロ発電シートの最適設計」を実施する.
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研究実績の概要 |
ペースメーカや神経刺激装置など,体内で電池駆動する消費電力数十uWの埋込機器が増加しているが,数年ごとに電池交換外科手術が必須であり,患者の精神的,肉体的な負担となっている.そこで,生体組織を工学的に応用する全く新規のアイデアでこの課題の打破に挑戦する.具体的には,筋肉の潜在的仕事率が1mW/g であることに着目し,体内グルコースを,筋肉を介して電力に変換するシステムを設計し評価する. このシステム実現のために,(i)筋収縮モデルに基づく骨格筋刺激制御系,(ii)骨格筋の収縮特性を考慮した高効率発電システム,(iii)生体筋肉を用いた発電実験を実施する,昨年度は計画通り(i)を完遂した. 本年度は骨格筋の収縮特性を考慮した発電システムの設計を実施した.まず,骨格筋が発生可能な不完全強縮が10~20Hz程度であることを考慮すると,従来,kHzオーダーの高周波振動における環境発電で用いられる圧電素子では,高出力が期待できない.周波数アップコンバータ機構を用いるなどの方法も考えられるが,機構の複雑化や設置スペースの増加を考えると望ましくないため,本研究ではエレクトレットを用いた発電素子を開発した.具体的にはエレクトレットと誘電エラストマーおよび薄膜電極を積層した発電シートタイプと,往復振動機構にエレクトレットを設置した振動型発電機構タイプの二つを設計・試作した.さらに,骨格筋の収縮と発電素子のダイナミクスを連成したモデルを構築し,発電素子の寸法および刺激信号の最適設計を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
筋収縮モデルの構築に加え,エレクトレットとエラストマーを積層した発電シートの最適設計,さらには当初計画していなかった不完全強縮で共振させる振動型発電機の設計まで実施することができた.発電機の設計では,筋収縮特性を考慮し,発電量と刺激電力の差である,正味電力が最大化するように設計することができた.
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今後の研究の推進方策 |
筋収縮と発電機のダイナミクスを連成したモデルで,正味電力の最大化設計が行えた.そこで次年度は,骨格筋への電気刺激システムを構築し,カエルの腓腹筋等を利用した発電実証実験に取り組む計画である.その際,モデルから導出した最適刺激電圧にて,発電機構の共振周波数と同じ周波数で骨格筋を不完全強縮させることで,本研究がコンセプトに掲げている,不完全強縮を利用した高出力発電を実現する計画である.
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