研究課題/領域番号 |
22K18753
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分18:材料力学、生産工学、設計工学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
永島 壮 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (80800317)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 表面不安定 / リンクル / 薄膜 / DNA / ナノワイヤ / ナノワイヤー / 毛管架橋 |
研究開始時の研究の概要 |
DNAの一次元構造体「DNAナノワイヤー」は,その高アスペクト比と化学修飾の容易さから,広範な工学応用が注目される。しかし,DNAナノワイヤーを所望の径・配置間隔でアレイ化することは容易でなく,方法論の確立が課題である。そこで本研究は,DNAナノワイヤーの生成・空間配置を制御する基盤技術の開発を目的とする。具体的には,薄膜の座屈変形により自律形成する凹凸パターン「リンクル」を用い,DNA溶液の溶媒蒸発を制御して溶質の析出と自己組織化を誘導する「リンクルナノリソグラフィー」を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,DNAの一次元構造体「DNAナノワイヤ」の生成と空間配置を制御する基盤技術を開発することである。具体的には,硬質薄膜と軟質基板から成る固体材料の表面不安定現象により形成する凹凸パターン「リンクル」を活用し,DNA溶液からDNAの一次元自己組織化を誘導する手法を確立することを目的とする。本年度の研究実績は,以下の通りである。 当初使用を予定していた硬質薄膜合成装置が故障したため,代替成膜装置の検討とリンクル形成条件の探索に取り組んだ。具体的には,プラズマ化学気相蒸着装置により合成される非晶質炭素薄膜の使用を計画していたが,マグネトロンスパッタ装置により作製した金ナノ薄膜を用いることとした。その結果,エラストマー基板表面にマイクロスケールのリンクルを作製することに成功した。特に,成膜時にチャンバー内にエラストマー基板を傾斜して設置する傾斜スパッタ法を採用することにより,従来のリンクル作製において不可欠であった基板のプレストレッチならびにそれに伴う引張圧縮装置への基板の装着を必要とせずに,直線状のリンクル(ストライプ)からジグザグ状のリンクル(ラビリンスやヘリンボーン)まで,所望の寸法と形状を有したリンクルを獲得できることを明らかにした。次年度以降の研究推進に不可欠なリンクル形成方法およびリンクルを作製する新規技術の開発に繋がる知見を獲得した。これらの研究成果をまとめた原著論文を次年度以降に発表すべく準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は,リンクルの寸法制御機構を解明し,リンクルの表面性状がDNAナノワイヤの寸法や形状に及ぼす影響を評価することを計画していた。しかし,上述の通り,当初使用を計画していた成膜装置の故障に伴い,代替成膜装置の検討とリンクル形成条件の探索に終始した。その結果,新たな成膜方法においてリンクルの寸法制御機構を明らかにした一方,DNAナノワイヤの作製に着手できておらず,遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,顕微鏡その場観察実験を基軸に据えた研究により,リンクルの表面性状がDNAナノワイヤの寸法や形状に及ぼす影響を明らかにする。具体的には,マグネトロンスパッタ装置により生成する薄膜を用いて各種リンクル(ストライプ,ラビリンスおよびヘリンボーン)を作製する。このとき,原子間力顕微鏡やレーザー顕微鏡を用いて,成膜条件や応力状態がリンクルの寸法や形状に及ぼす影響を明らかにする。水滴を用いた接触角測定実験により,リンクルの濡れ性を評価する。以上の結果から,濡れ性の制御機構を明らかにする。作製した各種リンクルを用いてDNAナノワイヤを作製する。原子間力顕微鏡を用いた詳細観察により,リンクルの寸法,形状および濡れ性が,DNAナノワイヤの寸法や形状に及ぼす影響を明らかにする。
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