研究課題/領域番号 |
22K18754
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分18:材料力学、生産工学、設計工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
澄川 貴志 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (80403989)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 自己組織化 / 転位構造 / 金属 / 可逆塑性 / 繰り返し負荷 |
研究開始時の研究の概要 |
半導体電子デバイスの重要性が世界的に急拡大している一方、デバイスに生じる熱応力に起因して、内部のナノ~マイクロサイズの金属素子が疲労破壊することが問題となっている。この問題の本質的な解決のためには、従来概念を超越した「可逆塑性変形を示す“しなやか金属”」による素子を実現する必要がある。本研究では、ナノ・マイクロ金属に形成される自己組織化転位構造の力学的支配因子を明らかにし、可逆塑性変形能を有する「しなやか金属」実現のための力学設計基盤の構築を行う。
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研究成果の概要 |
繰り返し負荷によってマイクロ金属単結晶の内部に形成される特異な自己組織化転位構造に着目し、可逆的な塑性変形を生じる材料の創出を目的とした。対象は一辺が2μmの正方形断面を有するニッケル単結晶であり、マクロ材の疲労き裂発生限界よりも低い応力振幅で引張圧縮繰り返し負荷試験を実施した。特定の結晶方位に配向された試験片では、実験初期にはほぼ弾性的な変形を示したものの途中から大きな塑性ひずみを生じた。試験後の試験片の内部観察によって、マクロ材に見られるはしご型構造と同様の構造が材料全体に形成されていること、および、反応拡散系を対象とした解析によって表面の影響が特異な転位構造を生み出すことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、ミクロンサイズの材料では、繰り返し負荷によって形成される転位の自己組織化転位構造に対して表面の影響が材料全体に及ぼされることを実験および解析によって明らかにし、結晶方位や材料寸法を調節することで目的とする転位構造を材料全体に発現できる可能性を示した。本成果は、転位の自己組織化構造の制御によって材料に特有の機械特性を生み出すという新しい学術分野を開拓するものであることに加え、将来的にはこれを利用した高機能構造物の創出の可能性も見込まれることから、学術界のみならず産業界や社会へ大きく貢献するものである。
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