研究課題/領域番号 |
22K18763
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分18:材料力学、生産工学、設計工学およびその関連分野
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
薦田 亮介 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90801308)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
|
キーワード | 水素ぜい化 / 水素侵入 / 電子密度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では水素脆化をコントロールする新たな手法として,材料表面の電子密度の制御によって材料表面での水素分子の解離反応をコントロールする手法を提案する.まず,試験片表面の電子密度を制御可能な水素ガス環境中材料試験方法の開発を行い,材料表面の電子密度が水素脆化挙動に影響を及ぼすことを実験的に証明する.さらに,電子密度が水素脆化に及ぼす影響に対する諸因子の影響(ガス圧力,材料,荷重条件など)を評価し,現象の理解を深める.
|
研究実績の概要 |
本年度は計画通り,材料表面の自由電子密度を制御可能な水素ガス中材料試験機の開発を行った.本試験機では電場内で生じる静電誘導を用いて材料表面の自由電子密度を変化させることを試みることとした.そこで試験片を2枚の極板で挟み込み,極板に電圧を付与することで極板間に電場を発生させる機構とした.電子密度の影響をより顕著にするためには,材料表面の電子密度の変化量を大きくする必要がある.そのためには極板間に強い電場を発生させる必要がある.強い電場を発生させるためには極板に負荷する電圧を上昇させる,もしくは,極板と試験片の間の距離を小さくすればよい.しかし,負荷電圧を上げすぎる,もしくは,極板と試験片の距離を小さくしすぎると絶縁破壊を生じてしまう.本研究では極板と試験片の間には水素ガスが存在し,水素ガスの絶縁破壊電圧は1550 V/mmである.極板と試験片の距離を0.5mm程度にすることとし,絶縁破壊電圧ぎりぎりの電圧を付与できる電源(松定プレシジョン製HJPR-10P3)を選定し購入した. 次に,試験機の設計を行った.類似の試験機を過去にも設計・製作した経験を活かして行った.その後,必要な部品,加工品,機器を発注した.しかし,近年の半導体不足のせいか,納期が非常に長い(1年近くかかるものもある)機器が複数あり,いまだ納品されていないものがいくつかある.当初の計画では本年度中に試験機を完成させる計画であったが,そのような理由で試験機は未完成の状態となっている.残りの機器も2023年4月中には納品される予定であるため,必要な機器が揃い次第,試験機の組立てを行う.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では本研究で新たに開発する材料表面の自由電子密度を制御可能な水素ガス中材料試験機の製作を完了する計画であった.しかし,近年の半導体不足の影響で試験機に使用する機器のいくつかの納期が大幅に遅れ,いまだ手元に届いていない状況である.そのため,当初の計画から遅れが生じている状態である.しかし,それら機器も近いうちに納品されることが決まっているため,大きな遅れにつながることはないと考えられる.そのため,やや遅れていると評価した.
|
今後の研究の推進方策 |
まずは,納品が遅れている機器が納品され次第,試験機の組立を行う.窒素ガス中および水素ガス中で電場ありと電場なしの状態で引張試験を行い,電場による材料表面の電子密度の変化が水素脆化挙動に影響を及ぼしうるか否かを調査する.そのため,試験片に負荷する電場の強さは,水素ガス中で絶縁破壊が生じる寸前の大きさとする.もし,電場の影響が観察されなかったらその他の試験条件(材料,ガス圧力,温度,荷重速度,等)を適宜変更し,電場の影響が現れる条件を探す. 電場の影響が現れた場合は各種影響因子の影響の調査に移行する.まずは電場の強さと水素脆化挙動の関係を取得し,時間的余裕があればガス圧力,温度,負荷速度の影響を評価していく.
|