研究課題/領域番号 |
22K18772
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分19:流体工学、熱工学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高橋 厚史 九州大学, 工学研究院, 教授 (10243924)
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研究分担者 |
手嶋 秀彰 九州大学, 工学研究院, 助教 (60906220)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | ナノマイクロ熱工学 / 原子間力顕微鏡 / グラフェン / ピニング / 表面電荷密度 |
研究開始時の研究の概要 |
固気液三相界線はその工学的重要性にもかかわらず、異なる三相が相互作用しあうためにその物理の調査が困難であり、新たな実験的手法による分子スケールでの現象理解が求められている。本研究では走査プローブ顕微鏡の中でも、従来の手法に比べて10倍以上高感度な周波数変調モードや表面電位を計測できるケルビンプローブフォース顕微鏡をさらに発展させ使い分けることによって、空気分子および不純物の吸着や凝縮層、固体表面の不均一性、および三相界線近傍の帯電状態が与える影響について調査する。
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研究実績の概要 |
固気液三相界線は気泡や液滴の形状や動的挙動に強く関与する場所であり、熱工学に限らず幅広い工学分野において重要でありながら異なる三相が相互作用しあうことから物理機構の正確な理解には至っていない。その一方で、近年のナノテク技術の発展に伴い、新たな実験手法による分子スケールでの現象解明の可能性が出てきており、本研究では走査プローブ顕微鏡の中でも、従来の手法に比べて10倍以上高感度な周波数変調モードや表面電位を計測できるケルビンプローブフォース顕微鏡を活用して、空気分子および不純物の吸着や凝縮層、固体表面の不均一性、および三相界線近傍の帯電状態が与える影響について調査することを目的としている。昨年度から今年度にかけて、当初予定していたMEMSデバイスでよく利用されるシリコン窒化膜構造にグラフェンを架橋するという方法で三相界線の実験に使うことができる液体セルを準備しようとしたが窒化膜の残留応力がセルの自立を阻害するという本質的な問題があることがわかった。そこで、新たな方策として、厚さ数10nmのシリコン薄膜に種々のサイズの貫通孔を設けたものをスペーサーとしてグラフェンで液体を挟み込むという新規デバイスの開発に取り組んだ。その結果、グラフェンを介して三相界線にアプローチできるデバイスの開発にめどが立った。同時に、ピエゾステージと干渉縞を組み合わせた顕微鏡を用いることで固体表面のナノスケールの凹凸を把握しながら三相界線の動きを調べる実験にも着手して物理機構の解明を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載したシリコン窒化膜を用いたケルビンプローブフォース顕微鏡観察についてはデバイスの製作に本質的な問題があることがわかったが、今年度において全く別の手法を試したところ、グラフェンで液体を封入する液体セル内に気液界面の存在を確認したことから来年度には当初の計画通りに三相界線近傍の電荷密度分布を計測できると予想しているため。
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今後の研究の推進方策 |
ケルビンプローブフォース顕微鏡観察のための新しいグラフェン液体セルについては引き続き開発を進める。また、このような分子的描像の獲得と並行して、固体表面のナノスケールの性状が三相界線のマクロな動的挙動にどのように影響するかについて、干渉顕微鏡法を用いた実験も進める。
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