研究課題/領域番号 |
22K18773
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分19:流体工学、熱工学およびその関連分野
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
長山 暁子 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (60370029)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 準カシミヤカプリング / ナノギャップ / フォノン熱輸送 / 熱共振 / 分子動力学解析 |
研究開始時の研究の概要 |
数分子層程度の真空ナノギャップを挟む二つの固体が分子間相互作用力のみでフォノン熱輸送を実現し,準カシミヤ熱輸送機構による熱共振現象を発見した.本研究では,ナノギャップにおける準カシミヤカップリング誘発したフォノン熱輸送機構に基づいて,分子動力学解析および実験の両面より極小局所領域における革新的ナノスケール熱制御技術の原理原則を明示することを目指す.
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研究実績の概要 |
数分子層程度の真空ナノギャップを挟む二つの固体が分子間相互作用力のみでフォノン熱輸送を実現し,準カシミヤ熱輸送機構による熱共振現象を発見した(Chen & Nagayama, Int. J. Heat Mass Transf., 2021).新たに発見したフォノン熱輸送機構には,真空ナノギャップを挟む固体表面に準カシミヤカプリングによるフォノン輸送が誘発される.本研究では,ナノギャップにおける準カシミヤカップリング誘発したフォノン熱輸送機構に基づいて,分子動力学解析および実験の両面より極小局所領域における革新的ナノスケール熱制御技術の原理原則を明示することを目指す. 今年度は,独自の計算コードと分子動力学計算パッケージプログラムLAMMPSを用いて計算を実行した.まず,水分子を吸着したPtのナノギャップにおいて,界面固体分子間のみならず液体分子間における熱共振現象およびフォノン輸送を確認できた.非平衡状態において、ナノギャップを介して二つの固液界面間に通過する熱流束はギャップ距離の減少に伴い指数関数的に増加し,二つの液体吸着層の原子間に生じた熱共振が固体界面層の原子間の熱共振を共起させることを波形解析より解明した.次に,SiCのナノギャップにおける熱共振現象およびフォノン輸送が,界面におけるSiCの分子終端原子の配置(Si-C, C-Si, Si-Si, C-C)による影響を明らかにした.異種終端原子が熱共振現象およびフォノン輸送を抑制し,同種終端原子が熱共振現象およびフォノン輸送を促進できることを発見した. これらの結果を2022年度熱工学コンファレンスにて発表し,Royal Society of Chemistry社のPhysical Chemistry Chemical Physics誌およびNanoscale誌に掲載することになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スーパーコンピューティングシステムを用いた大規模分子動力学解析は,九州大学情報基盤研究センターの高性能演算サーバーを利用し,独自の計算コードと分子動力学計算パッケージプログラムLAMMPSを用いて計算を実行した.SiCのナノギャップにおける熱共振現象およびフォノン輸送について,界面におけるSiCの分子終端原子の配置との関連性を明らかにした.また,水分子を吸着したPtのナノギャップにおいても,熱共振現象およびフォノン輸送を確認できた.これらの計算結果を2022年度熱工学コンファレンスにて発表し,Royal Society of Chemistry社のPhysical Chemistry Chemical Physics誌およびNanoscale誌に掲載することになった.
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今後の研究の推進方策 |
引き続きスーパーコンピューティングシステムを用いた大規模分子動力学解析および原子間力顕微鏡による実験計測を実施する.分子動力学解析は,九州大学情報基盤研究センターの高性能演算サーバーに加えて大阪大学のスーパーコンピュータを利用する予定である.実験検証には,実現が難しい課題ではあるが,引き続き原子間力顕微鏡を活用して挑戦する.
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