研究課題/領域番号 |
22K18776
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分20:機械力学、ロボティクスおよびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
多田隈 建二郎 東北大学, タフ・サイバーフィジカルAI研究センター, 准教授 (30508833)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 循環メカニズム / ロボット機構 / 機構設計 |
研究開始時の研究の概要 |
研究方法として,設定した目的達成のため,複数素材の化学反応と機構の観点からの力場の変化の組合である「機・化複合型反応機構」を推進する.これは,従来では修復のみに留まっていた機能を,反応中に力学作用(内圧,もしくは電磁場を変化させて,出来上がる形状・構造に作用させる.)を与えることにより,形態の拡張的改変を行うことで,災害現場などでの変種変様なタスクの臨機応変な遂行を可能とするものである.この形状の劇的可変機能をさらに推し進め,これまで固定されていた対偶をも可変にする方法論をまとめ,可変対偶学の創出にも取り組む.
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研究実績の概要 |
研究方法として,設定した目的達成のため,複数素材の化学反応と機構の観点からの力場の変化の組合である「機・化複合型反応機構」における,膜構造に相当するものを2種類設定した.1つは化学式,もう1つは機構式の原理確認装置である.前者の化学式においては,酢酸ナトリウム水溶液とキサンタンガムおよび磁性粉体を混合させたもので膜構造を製作した.磁場で局所的に,内圧で全体膨張・収縮を行う変形が,また酢酸ナトリウムにおける過冷却反応により柔剛の切替えが可能であることを確認した.しかしながら,膜自体が弾性を有しているわけではないため,自身での復元力を生成することが困難であり,そのため初期状態に復元させるという変形を行う際には再度負圧を付加したり,磁場を印加する必要があるという課題も実機を通して確認できた.この復元力生成の容易さを鑑み,後者の機構式の原理確認装置においては,シリコンゴムを用いて柔剛可変膜を作製し,内圧を変えることで膨張や収縮をしている間に形状を固めるという構成とした.こちらの方式は,応答性と復元性は前者よりも格段に良くなるとういうことが具現化した実機を用いた基礎実験により確認することができた.課題としては,局所的な変形が挙げられるが,こちらも柔剛の分布を取れるような区画化された膜構造とするというアイディアを生むに至った.さらには,当初のアイディアにあった対象物を変形させるエンドエフェクタとしてのノコギリ状の構造を作り出す方法として,貝類の歯の生成方式に関しても着目し知見を深めた.膜構成において,区画の分解能を高める方法や前者の化学反応との組み合わせ方式に関しても次年度以降の研究開発を考慮に入れてアイディア整理に取り組んだ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初より設定していた自己形状を改変させるという根本アイディア・基礎を実現する方法として,基礎的な化学方式と機構式の2種類の膜方式に関して具体的に設計し,設計に基づいた原理機を試作したこと,および具現化した実機を用いた実験を通して創案した原理の有効性を確認したことは当初よりも進んでいる点である.一方で,課題として,機構式における局所的な変形があるが,こちらも柔剛の分布を取れるような高い分解性を視野に入れた区画化された膜構造のアイディアを整理しており,化学式との組み合わせにおいても整理できていることより,概ね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
創案したロボティク循環網の基本原理に基づいて実機を設計・試作し,実機実験を通して,考案した原理の有効性を確認するというサイクルを研究実施期間中に複数回すことで,実機の質を向上させ,学術・技術を体系立てるという方式を強化させる.また,適宜,高分子材料の観点から,その専門である山形大学の古川英光教授と川上准教授と議論して化学反応の知見を組み入れる.
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