研究課題/領域番号 |
22K18780
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分20:機械力学、ロボティクスおよびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
秋山 佳丈 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (80585878)
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研究分担者 |
塚原 淳 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 健康長寿支援ロボットセンター, 室長 (70601128)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 培養筋 / 収縮制御 / バイオアクチュエータ / 筋収縮制御 / ニューラルネットワーク / バイオハイブリッド |
研究開始時の研究の概要 |
筋肉は,生物が40億年の進化の末に獲得した大変優れたアクチュエータ(駆動源)とみなすことができます.そこで,この筋肉組織やそれを構成する筋細胞を直接的にアクチュエータとして人工システムに取り込むことで,生体の持つ自己組織化・自己修復機能を備えたバイオハイブリッドロボットの創成を目指しています.本研究では,人体における脳と脊髄を模したニューラルネットワークによりバイオハイブリッドロボットの制御を目指します.
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研究実績の概要 |
従来の培養筋アクチュエータに関する研究は、実証指向型で試行錯誤的に進められてきた。本研究では、生体筋に幅広く用いられるHillモデルに基づく古典的制御に加え、ニューラルネットワークによる制御系を構築し、最終的に「遊泳型バイオハイブリッドロボット」への実装を目指す。本年度は以下の項目に取り組んだ。 培養筋のモデル化:培養筋は、マウスの筋細胞株C2C12をコラーゲン等細胞外基質中で10日程度培養することで得た培養筋に対し、伸長短縮試験および張力試験を行い、モデル化を行なった。一般の生体筋と異なり培養筋は収縮時の弾性変化が大きいために、従来の受動要素に、筋活性度等に比例する能動要素を並列に加えた6要素Hillモデルを用いることで良好な結果が得られた。 収縮制御手法の変更:遊泳型バイオハイブリッドロボットへの応用において、当初、電気刺激により一対の培養筋を個々に収縮制御することを想定していたが、電場の回り込みにより困難であるため、新たなに光制御を適用することとした。細胞レベルでは、チャネルロドプシンの導入による光制御が報告されているため、同様に作製し、この細胞で作製した培養筋の評価を行なっている。 制御系の構築:培養筋駆動の遊泳型バイオハイブリッドロボットが、遊泳動作を実現するためには、拮抗して配置された培養筋の相互抑制によって、リズム生成を行う必要がある。そのため本研究では、周期的な動作パターンを生成するための神経回路モデル(half-center model)を用いて、ニューロンの興奮・抑制メカニズムのシミュレータを試作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生体筋モデルをそのまま培養筋への適用することが困難であったため、新たに培養筋に適した独自のモデル構築が必要になり、多くの実験および検証が必要になった。また、ロボットへの応用において、電気刺激により一対の培養筋を個々に収縮制御することは困難であることが判明したため、新たに光応答性の培養筋を作製する必要が生じた。一方で、神経回路による制御については、シミュレータの構築に留まっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,以下を予定している. 1.光刺激の最適化:培養筋に安定して強縮を引き起こす光刺激パターンを同定する。 2.遊泳型バイオハイブリッドロボットの構築:1対の培養筋によって尾ビレを揺動するロボット構造体を作製する。さらにそこに光応答性培養筋をアセンブリし、光刺激による尾ビレの揺動を実証する。 2.ニューラルネットワークによる制御:神経回路モデルによるニューロンの興奮・抑制メカニズムのシミュレータを用いて揺動機構等の制御を試みる.
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