研究課題/領域番号 |
22K18785
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松浦 祐司 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10241530)
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研究分担者 |
木野 彩子 東北大学, 医工学研究科, 学術研究員 (30536082)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 光音響分光法 / 光超音波 / 中赤外光イメージング / 赤外分光法 / 生体分光分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,中赤外光を光源とした場合の,超音波発生メカニズムを明らかにするとともに,パルス幅,繰り返し周波数,および照射光強度などについて,最適な条件を探索する.そして,その条件下でまずは固定点における生体組織サンプルの赤外分光スペクトルを取得し,組織を構成する分子の分析が可能であることを示す.その後は,照射光を二次元的に走査してハイパースペクトル画像の取得を試みる.具体的な実施項目は次の4点である. 1)生体組織の分光スペクトル分析法の確立,2)QCL変調周波数およびパルス幅の最適化,3)固定点測定による生体成分分析,4)二次元イメージング装置の構築と生体ファントム測定
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研究実績の概要 |
本研究はパルス変調した中赤外光を生体組織に照射した際に,組織内部で発生する超音波を検出することにより,生体分子のスペクトル情報と,ビームスキャンによる面内構造情報の両方を含むハイパースペクトル画像を得る手法のフィジビリティスタディーを行うことを目的とする.今年度は基礎的検討として,はじめに生体組織のスペクトル取得を行った.サンプルとしては,生体模擬試料としてブドウ糖を添加したゼラチンや,ヒト耳たぶなどを対象とし,波長8~10ミクロンで発振する波長可変QCLを使用し,試料内部で発生した超音波は,サンプル表面に押し付けた圧電セラミクス(PZT)トランスデューサで検出した.得られた分光スペクトルについて,ATR法によって得られたスペクトルと比較した結果,吸収係数に対して非線形なスペクトルが得られたが,多変量解析などを用いれば特定成分の濃度変化を検出可能なことがわかった.また,試料の厚さを変化させると,試料中の超音波の波長に応じて発生する定在波が生じ,その条件下では非常に強力な信号が得られることがわかり,本手法の感度向上が可能なことがわかった.さらに,励起用の中赤外レーザ光を2次元的に走査するシステムを構築し,生体試料のハイパースペクトル画像の取得を試みた.試料は牛肉片とし,あらかじめ測定した筋肉と脂肪の標準試料のスペクトルを用い,試料の測定点ごとの成分を判別分析することにより,成分に応じた画像の取得に成功したため,本手法の将来的な実用性についての見通しが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画にあった本手法で得られるスペクトルと吸収係数の関係を明らかにすることに成功したうえ,感度向上の方法も見出し,さらには基礎的な実験ではあるが,牛肉片の赤外分光画像の取得にも成功したため.
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今後の研究の推進方策 |
まずは本手法で得られるスペクトルが,吸収係数に対して非線形性を有する原因について,数値シミュレーションなどを通じて明らかにする.またイメージングにおいては,悪性腫瘍に特有の成分を含んだファントムを作製し,そのイメージングを試みることにより,将来的な非侵襲診断法へと結びつけることを検討する.
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