研究課題/領域番号 |
22K18791
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
鵜沼 毅也 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (20456693)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 光物性 / 有機半導体 / 複合材料 / テラヘルツ/赤外材料・素子 |
研究開始時の研究の概要 |
有機薄膜においては,印加電圧の下でキャリア(電子またはその抜け穴)が障害物に妨げられずに加速運動(バリスティック伝導)することは難しいと考えられてきた。本研究では,有機分子に内在するキャリア輸送経路を透明母体材料とのナノコンポジット化で擾乱や劣化から保護しつつ,超短光パルスの照射でキャリアを生成することにより,バリスティック伝導に適した状況を整える。有機薄膜デバイスの高速化に向けてバリスティック伝導を発現させ,制御することに挑戦する。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き,透明なフレキシブル母体材料に有機半導体を配合したナノコンポジット膜を作製し,有機半導体として分子内輸送経路を持つ高分子系材料(共役ポリマー)と低分子系材料の両方を対象にした。さらに,ナノコンポジット膜の一部分に高電圧を印加するための電極パターンを加工した。有機半導体のバンド間励起に対応する中心波長の光パルスを高いパワー密度で長時間照射すると,表面での焦げを避けるために配合濃度を下げたナノコンポジット膜においても,異なるタイプの劣化(脱色など)が内部で生じることが判明した。平面内で二つの電極に挟まれた膜に光パルスを照射する配置では,パワー密度を下げるために照射スポットの面積を広げることは,キャリアに高電界を印加するために電極間隔を狭めることとトレードオフの関係になる。この制約内で膜の劣化を抑えながらテラヘルツ放射の観測を試みるとともに,制約自体を避けることができるような新たな電極パターンの検討も並行して進めている。 一方,テラヘルツ放射分光測定装置の性能を確認するために,無機半導体のGaAs結晶にナノコンポジット用の電極パターンと同一の加工を施した標準試料を用意し,高電圧を印加した状態で中心波長800nmと400nmの光パルスを照射した。それぞれの中心波長の場合にテラヘルツ放射波形を測定し,照射パワー密度およびテラヘルツ検出素子の特性(電気光学結晶)から期待される装置性能で,バリスティック伝導の様子を観測できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機系ナノコンポジット膜と電極パターンの改良を進め,バリスティック伝導の発現に向けた問題点を技術的制約も考慮しながら一つずつ解決してきている。また,テラヘルツ放射分光測定装置に必要とされる性能を,標準試料で確認することができた。以上のことから,目的の達成に向けて研究が順調に進展していると評価される。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果に基づいて,試料作製上の新しい物質やアイデアをさらに採り入れ,有機系ナノコンポジット膜と電極パターンの諸条件を最適化しながら,テラヘルツ放射分光を行っていく。その過程で,バリスティック伝導の発現に必要となる要素を検証する。次年度は最終年度であるため,複数の作業を並行して効率的に進める。
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