研究課題/領域番号 |
22K18800
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
村上 勝久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20403123)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | グラフェン / 六方晶窒化ホウ素 / 電子放出 / 水素発生 / ホットレクトロン誘起化学反応 |
研究開始時の研究の概要 |
大気中・液体中で動作可能なグラフェン電子源を用いて、分子との非弾性散乱の効果が高い10eV帯のホットレクトロンを高電流密度で室温常圧の液体材料やガス材料に直接注入した際の分子の分解・活性化・反応機構を解明し、電子の能動制御による革新的な化学反応システムを構築する。更に、提案する化学反応システムを用いて、エタノールなど炭化水素材料を原料とした二酸化炭素排出フリー水素発生機構を解明することを目的としている。
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研究実績の概要 |
本研究は、申請者がこれまで独自に開発してきた大気中・液体中で動作可能なグラフェン/酸化膜/半導体積層構造の超高効率平面型電子放出デバイス(グラフェン電子源)を用いて、分子との非弾性散乱の効果が高い10~30 eV帯のホットレクトロンを100mA/cm^2の高電流密度で室温常圧の液体材料やガス材料に直接注入した際の分子の分解・活性化・反応機構を解明し、電子の能動制御によって分子の分解・活性化を高精度で制御可能にする革新的な化学反応システムを構築することを目的としている。更に、提案する化学反応システムを用いて、エタノールなど炭化水素材料を原料とした二酸化炭素排出フリー水素発生機構の解明も試みる。 本年度はグラフェン電子源の酸素耐性向上に向けた酸素耐性保護膜の開発と、電子線による炭化水素燃料分解反応解明に向けた、液中電子線照射装置の開発を実施した。グラフェン電子源の酸素耐性保護膜材料には酸素耐性と高い電子透過性の両立が重要であり、これらの条件を満たす材料としてh-BNの酸素耐性と電子透過性を評価した。グラフェン電子源の電子放出面に転写法により単層h-BNを貼り付けて、酸素プラズマ照射前後での電子放出特性を評価したところ、酸素プラズマ照射後も動作することが分かった。また、電子放出効率も保護膜無しのグラフェン電子源と同等であり、高い電子透過性を有することがわかった。これらの成果をACS Omegaで発表した。液中電子線照射装置に関しては、多層グラフェンを用いた真空隔壁を開発し、隔壁を通して準大気圧中(10^-4Pa)に最大約80nAの電子線を注入可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グラフェン電子源のエタノール中での安定動作のために、h-BNを用いた酸素耐性保護膜を検討し、酸素耐性と高い電子透過性を両立できることを実証した。この成果をACS Omegaで発表した。また、低エネルギー電子線によるエタノール分解水素発生機構の解明に向けて、準大気圧中に安定して電子線を注入できる電子線照射装置の開発に成功し、目的の達成に向けて順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
h-BNを用いた酸素耐性保護膜に関して現状では転写法を用いているが、歩留まりや量産性を考慮して、CVDによる直接成膜技術の開発を行う。また、h-BN以外の保護膜についても検討する。エタノール分解水素発生機構の解明に関しては、今年度開発した液中電子線照射装置による液中への電子線注入を実施し、電子線によるエタノールの分解を試みる。
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