研究課題/領域番号 |
22K18801
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横田 信英 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (00734542)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 直交振幅変調 / 相互注入同期 / 半導体レーザ |
研究開始時の研究の概要 |
光位相の直交性を利用する直交振幅変調は大容量光通信において重要である。2つの独立した半導体レーザから出力される光は互いに同期していないため、これらを合波しても光位相の直交性は満足されないが、光フィルタを介して相互に光を注入し合うことで各半導体レーザの同期を得ることができる。これが本研究独自の着眼点である。本研究により、コストや消費電力のボトルネックとなる外部変調器を排除した直交振幅変調光源の実現が期待できる。
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研究実績の概要 |
近年、大型IT企業の有するデータセンター間における大容量通信用光源の需要が急増しており、光電界の実部と虚部における直交性を利用した直交振幅変調を活用した光源の低コスト化や省電力化が重要である。本研究では、コストや消費電力のボトルネックとなる外部変調器を用いることなく半導体レーザから直交振幅変調光を直接生成するための光源技術の開発を目的としており、相互注入同期現象を活用する独自提案の直交振幅変調光源について原理検証する。 当該年度では、2つの半導体レーザを導波路型の光フィルタであるリング共振器によって結合したInP光集積回路チップを設計し、ファウンドリサービスを活用して発注した。相互注入同期条件の考察や相互注入同期時の変調周波数応答特性などを評価可能な光集積回路パターンも設計しチップ内に配置した。現在、本チップはファウンドリによって作製されている段階である。また、ファウンドリで作製可能な光集積回路は光フィルタのQ値や半導体レーザの変調速度などの点で制限を受けるため、光集積回路チップの試作と並行して、バルク素子を用いた原理検証実験系の立ち上げを進めた。高Q値を有する光フィルタとして、高反射率ミラーを用いた三角共振器とファブリペローエタロンを候補とし、それぞれをコンパクトに配置可能な光学系の設計を行った。また、2つの半導体レーザ間で安定した強い相互注入同期を得るためのアイデアを検討し手がかりを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ファウンドリによるチップ作製工程が装置関係のトラブルによって予定よりも遅れており、チップの評価が後ろ倒しになっている。一方、マニュアルプローバやファイバ調心システム、光集積回路チップの専用治具など、試作チップの評価で必要となる測定環境をスムーズに立ち上げることができた。また、高反射率ミラーを用いる三角共振器を活用した原理検証実験に着手し特注の治具等を作製するなど、他の実施検討項目を追加・前倒しにし、当初予期していなかった遅延への対処を行った。
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今後の研究の推進方策 |
ファウンドリによるチップ作製工程遅延への対処として、三角共振器またはファブリペローエタロンを光フィルタとして用いる新たに考案した原理検証実験系の計画を推進し、提案光源の極限性能に関係する知見が得られるように研究を進める。チップ入手後は優先的に評価実験を進め、小型集積された直交振幅変調光源の初となる実験結果を得る。また、重要な性能の一つである強い相互注入同期を得るためのアイデアの検討を推進し、提案光源の将来的実用化に向けた成果の創出を目指す。
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