研究課題/領域番号 |
22K18806
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
明田川 正人 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (10231854)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | ピコメートル / 結晶格子 / 走査型トンネル顕微鏡 / 格子間隔 / グラファイト / 補間 / グラファイト結晶 / 変位計測校正 |
研究開始時の研究の概要 |
ナノテクノロジが加速し半導体デバイスでは加工精度に10pmを求める時代である。これには変位センサの計測不確かさをpmまたはそれ以下で校正する装置が必須であるが、現在これはない。申請者はグラファイトHOPG結晶格子表面の格子間隔(約0.25nm)を基準とし、走査型トンネル顕微鏡STMを検出器とする結晶スケールの研究を行っている。申請者はSTM探針に加えたディザ変調とその復調に能動型位相同期を用いるとHOPG格子間隔の10^-4乗倍(~0.025pm) まで補間可能であることを着想した。本研究の目的は、格子間隔がどこまで補間可能かどうかを実験的に検証し、上記のpm校正機を開発することである。
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研究実績の概要 |
グラファイト(HOPG)結晶格子表面の原子構造を走査型トンネル顕微鏡(STM)で観察し、グラファイト表面の2次元格子ベクトル(ベクトルの大きさ=246ピコメートル)を基準とする2次元変位測定法(2次元変位補間法)の研究開発を行なった。主な成果は次のとおりである。 (1)STM探針に格子間隔以下の半径を持つディザ横振動を加えながら、探針をラスター駆動したときに得られる6個以上の原子画像から、逆格子ベクトル方向の6種の横波を表す画像を分離することが可能なことを理論的にまたシミュレーションで確認した。このうちの4個の横波画像からSTM探針の変位を2次元格子ベクトルの線形和で表すことができる。ディザ横振動上の任意の6点の組みからこの6種の横波を表す画像を復元可能である。6個の組みを複数個用い、平均化すれば補間の不確かさが減少することもシミュレーションで明らかになった。 (2)上の(1)の手法を検証するために干渉計を組込んだSTMとその制御装置を開発途上である。干渉計はヘテロダイン形式あるいは正弦波位相変調形式を用いる予定である。ディザ横振動を加えながらSTM動作できるよう制御回路は高速論理回路FPGAを用いている。現在、STMのトンネル電流に混入するシステムノイズの検討を行っており、原子像を得られるよう準備している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
原理の検証(シミュレーション)に時間がかかり、外乱(振動・音響・熱)にロバストなSTM装置の開発に遅れが出ている。ただしトンネル電流に混入するシステムノイズの検証は終わっており、9月までにはロバストなSTM装置を完成できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
以下の段階で研究開発を進める予定である。 (1)環境外乱にロバストなSTM装置とそのFPGA制御装置及び干渉計の開発 (2)グラファイト原子像の取得と原子像による提案補間法の検証 (3)提案補間法の干渉計との比較、及び他の計測法への応用への模索検証
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