研究課題/領域番号 |
22K18811
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
東川 甲平 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (40599651)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 超伝導 / モビリティ / 固体窒素 / 蓄冷 |
研究開始時の研究の概要 |
超伝導モータは、従来のモータでは為し得ないほどの出力密度を達成し得るため、大型旅客機の電動化の唯一解とされるほどの期待を受けているが、それにかかる冷却システムの重量は、その成否を左右する重大な課題となっている。そこで本研究では、比熱の高い固体窒素と熱伝達流体の組み合わせた高機能蓄冷材を開発し、超伝導モータへの適用可能性を検証することで、冷却システムの搭載を必要としない夢の超伝導モビリティの実現可能性を提示する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、冷却システムを必要としない超伝導モビリティの実現に向けた蓄冷システムの開発である。超伝導モータは、従来のモータでは為し得ないほどの出力密度を達成し得るため、大型旅客機の電動化の唯一解とされるほどの期待を受けている。一方、超伝導モータの運用では、超伝導部を低温に保ち続けることが不可欠であり、それにかかる冷却システムの重量は、その成否を左右する重大な課題となっている。そこで本研究では、比熱の高い固体窒素と熱伝達流体の組み合わせた高機能蓄冷材を開発し、超伝導モータへの適用可能性を実証することで、冷却システムの搭載を必要としない夢の超伝導モビリティの実現可能性を提示することに挑戦する。
窒素が固体となる温度(63 K)以下、また特に超伝導モータが最大出力を出せるような温度領域(例えば30 K程度)では、窒素の液体状態が存在せずに、固体窒素は昇華して気体となるが、その昇華圧があまりにも低いため、固体窒素の冷却対象の点以外は断熱状態となる。特に、液体窒素を真空引きして気化熱で固化させる手法は、固体窒素の高速作製が可能であるが、気泡だらけの構造になり蓄冷材として機能しない。この弱点を補うために、当該温度領域の蒸気圧が高いガスを添加することを考えており、熱伝達率と作製時間の観点から最適なガスの種類と添加量を見出す必要がある。そこで、真空引きによる固体窒素の作製の他にも、伝導冷却によって固体窒素を作製できる装置の設計を行った。また、同装置の設計においては、作製した固体窒素にガスを添加できるような構成を採用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画のとおりに、2022年度内に実験装置の設計を終え、製作業者への発注を行うことができたため、研究は順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
製作した実験装置によって以下に取り組む。 ・固体窒素の作製試験(真空引き、伝導冷却):装置に液体窒素を導入し、真空引きを行った際の温度変化を計測することで、窒素の固化の確認とその作製時間の評価を行う。また、伝導冷却を行った際にも同様の評価を行う。 ・超伝導モータの最も大きな発熱源となる電機子巻線を模擬した発熱源を冷却対象とした際の蓄冷機能の評価:前項で作製した固体窒素により発熱源を含侵し、その温度変化を計測することで蓄冷機能を評価する。 ・ガスの添加が蓄冷特性と熱伝達特性に与える影響の評価:前項において、固体窒素のみならず、ガスを添加した場合の評価を行う。ガスを用いない場合には、発熱源から固体窒素への熱伝達が不足し、また固体窒素内の均温化も困難であると予測している一方、ガスの添加によりこの問題が解決され、固体窒素の熱容量を余すことなく利用できるようになると見込んでいる。 ・以上の結果を踏まえた最適な固体窒素畜冷材の作製・運用手法の検討:様々な固体窒素の作製法とガスの添加法の組み合わせから、実応用時に最も有望となるものを提示する。
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