研究課題/領域番号 |
22K18816
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
山本 真人 関西大学, システム理工学部, 准教授 (00748717)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 二次元物質 / 相転移物質 / 振動子 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の人工ニューラルネットワークに基づくアルゴリズムである深層学習の発展にともない、人間を超える認知機能を有する脳型コンピュータ創出の機運は高まっている。一方で、人間の脳に準ずる超低消費電力でニューラルネットワークをエミュレート可能なハードウェアは未だ実現されていない。本研究では、脳型コンピュータへの将来的な実装を視野に入れ、相転移物質と二次元物質からなる相転移振動子ネットワークの作製を試みる。本研究において、単一チップ上で相転移振動子ネットワークを形成し、振動子間の同期現象を利用した超低消費電力認知情報処理が実現されれば、相転移振動子に基づく脳型コンピュータの創製が期待される。
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研究成果の概要 |
本研究では、室温近傍で絶縁体-金属相転移を示す二酸化バナジウム(VO2)と二次元半導体をヘテロ構造化させることで、周波数を変調可能な振動子の作製を試みた。本研究では、物理気相成長法によって任意の基板上に転写可能なVO2ワイヤをSi/SiO2基板上に合成することに成功した。さらに、実際にVO2ワイヤを二次元半導体の一種であるMoS2上に転写し、VO2を電極、MoS2をチャネル、Siをゲートとする電界効果トランジスタを作製することに成功した。この構造を用いればMoS2トランジスタにゲート電圧を印加することでVO2の相状態を変調できる可能性があり、ゲート変調可能な相転移振動子の実現も期待できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、振動子の集団同期現象を利用した新奇コンピュータがその低消費電力性から注目を集めている。実際に、振動子を大規模集積しコンピュータを構成するためには、振動子自体が微細性と集積性を有し、さらに振動周波数を変調可能であることが求められる。本研究では、絶縁体-金属相転移を示すことから振動子への応用が期待されているVO2をナノ細線状に大量合成することに成功し、さらにVO2ナノ細線と二次元半導体MoS2とのヘテロ構造トランジスタを作製し、ゲート電圧による相転移制御の可能性を開拓した。したがって、本研究ははVO2相転移振動子を用いた新奇コンピューティングの実現への第一歩として意義があると考えられる。
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