研究課題/領域番号 |
22K18824
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飛野 智宏 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90624916)
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研究分担者 |
中島 典之 東京大学, 環境安全研究センター, 教授 (30292890)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 交流電場 / 微生物制御 / 水処理プロセス / バイオフィルム / 増殖速度 / 生物膜 |
研究開始時の研究の概要 |
都市を支える水インフラにおける水中微生物の制御は、公衆衛生の確保(水道、水環境)や低環境負荷水循環システムの構築(浄水・下水処理)において欠かせない技術である。本研究では、交流電場の特性を活かした従来とは全く異なる電気的微生物制御のポテンシャルを探索することを目的とし、交流電場が水中の微生物の代謝・増殖に及ぼす影響とその原理解明に向けた検討を行う。具体的には、交流電場が細菌の増殖と代謝活性に及ぼす影響を実験的に検証するとともに、遺伝子発現や代謝物応答を解析することによりその作用原理を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、交流電場の特性を活かした従来とは全く異なる電気的微生物制御の可能性を探索することを目的とし、交流電場が水中の微生物の代謝・増殖に及ぼす影響とその原理解明を進めるものである。 今年度は、回分式の活性汚泥リアクターを用いて、複合微生物系への交流電場の影響について検討を進めた。電極を挿入可能な小型のリアクター(0.4 L)を3基作製し、模擬人工下水を原水として電場強度が異なる条件(0, 0.55, 0.87 V/cm)で回分式の活性汚泥法を436サイクル継続運転した。有機物指標の除去率および汚泥濃度には変化が見られなかったことから、有機汚濁処理性能およびバルクの汚泥増殖活性への電場の影響はないことが確認された。また、汚泥の細胞外高分子物質(タンパク質、多糖類)の濃度にも影響は見られなかった。一方で、電場を与えた条件で、処理水中の硝酸性窒素、亜硝酸性窒素濃度が低下し、汚泥の沈降性が向上することが明らかとなった。顕微鏡観察の結果、電場を与えた条件で汚泥フロックサイズが増加し、糸状性の細胞が多い傾向が観察された。フロックサイズの増大が硝酸性・亜硝酸性窒素濃度および沈降性の向上の要因と考えられた。DNAアンプリコン解析の結果、微生物叢が電場強度依存的に遷移していることが明らかとなった。以上の検討を通して、電場が複合微生物叢に一定の選択圧を及ぼすこと、その結果として活性汚泥法の処理性能に影響を与えることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の純菌株を用いた検討に続き、複合微生物系への影響の検討を概ね計画通り進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討により純菌(浮遊系、付着系)および複合微生物系(浮遊・付着の複合系)における電場の影響を一定程度検証できたことから、今後はメカニズムの解明に重点を置いて検討を進める。
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