研究課題/領域番号 |
22K18829
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 周平 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00378811)
|
研究分担者 |
相子 伸之 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 主幹研究員 (30443526)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | マイクロプラスチック / ナノプラスチック / 熱分解GC-MS / エアロゾル / 肺胞 / 細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
紫外線などによりプラスチックが劣化すると、気管、気管支を通り、肺胞にまで到達するのではないかと着想した。その場合、発がん性物質などを高濃度で吸着し、細胞内に輸送していることになる。「環境中で劣化したプラスチックがエアロゾル化し、肺胞や生物細胞内に到達しているのか?」という問題の核心に迫るための定量的分析方法を確立することを主目的とする。従来の分析では、プラスチック以外を取り除くための前処理やFTIRによる積算などに長時間を必要とするため動態解明が遅れている。本研究では遠赤外線レーザー、分粒/膜分離+GC/MSを併用したナノプラスチック同定方法と細胞への影響評価試験系の開発に挑戦する。
|
研究実績の概要 |
大気中のマイクロプラスチックおよびナノプラスチックの分析方法の開発を進めた。熱分解GC-MSにおける標準試料の作成方法について検討を行い、炭酸カルシウムの添加量と分析結果との関係性のデータを集積した。その結果、一部、炭酸カルシウムによる反応熱分解を行うポリマーの再現性が良くないことが分かり、各成分別に最適な炭酸カルシウム添加量を示すことができた。その後、市街地道路近辺および建物の屋上においてエアサンプラー(アンダーセンAN-200)を設置し、大気中のマイクロおよびナノプラスチックを分画して採取した。11 um以上、7.0-11 um, 4.7-7.0 um, 3.3-4.7 um, 2.1-3.3 um, 1.1-2.1 um, 0.65-1.1 um, 0.43-0.65 um別に試料を採取し、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリ塩化ビニル、PET、ポリアミドの分析を行ったところ、成分別に大気中における存在粒径分布が異なることが分かった。ポリエチレンは3.3-4.7 umで含有量が最大となり、ポリスチレンでは0.65-1.1 umで最大となった。一方でPETは11 um以上で最大となったことから、環境中における紫外線などによる劣化の影響が成分別に異なり、それらの結果、極微細化する傾向が異なるのではないかと考察している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量子カスケードレーザーと熱電冷却型MCT検出器による測定方法については、数十マイクロメートル粒子の添加回収実験を行い、高い回収率を得ることができた。エアサンプラーによる大気の捕集と分画の組み合わせも順調に行えており、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
肺胞の奥まで達する大きさのプラスチック粒子については、大気中の存在について分析するための方法を確立することができた。本年度はさらに微小粒子についても測定方法の開発を行う予定である。
|