研究課題/領域番号 |
22K18838
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
榎田 竜太 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20788624)
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研究分担者 |
藤田 皓平 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40648713)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 非線形制御 / NSBC / 重篤応答 / 入力波推定 / 振動台実験 / 非線形履歴特性からの応答推定 / 入力波同定 / 極限外乱 / 入力同定 |
研究開始時の研究の概要 |
構造物の耐震性能は、事前に想定された地震入力波に対して構造物が十分に耐えられるかが、主に検証される。この検証方法では、用意された入力波が誘発する揺れ以外を考慮できず、構造物に重篤応答(重損傷を伴う揺れ)を誘発する地震波が死角として残存する可能性がある。この死角を対象に、本研究では、非線形制御手法を応用した逆解析手法によって、これらの重篤応答の発生可能性を評価する仕組の構築とその実験的検証を行う。この手法によって同定された入力波の特性を評価することで、その重篤応答の発生可能性を評価する。これによって、既存の極限外乱法とは別の角度から、耐震性能評価の入力波の問題に対して、新しい地平を切り開く。
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研究実績の概要 |
本年度では,本研究で開発した単層・3層構造物に重篤応答を実現する入力波の推定手法を,理論的に整理した.この手法は,任意層に対して重篤応答になる履歴特性を想定し,それに伴う床応答を導出し,その応答を実現する入力波を同定する.理論的考察から,1層構造物であれば運動方程式のつり合いから,その入力波を作成できることを明らかにした.また,多層構造物の場合には,任意層に履歴特性を想定するだけでは,運動方程式でのつり合いでは入力波を同定することができないことを示した.一方,多層構造物の任意層に履歴特性を想定する場合でも,非線形制御手法であるNonlinear Signal-Based Control(NSBC) によって,高精度にその応答を実現する入力波を同定できることを示した. また,地震時の室内安全性を考慮する場合に,配置される家具・什器の転倒や衝突は可能な限り防ぐ必要がある.これに関して,家具・什器に転倒や衝突を生じせやすい床応答があり得る.これに関して,本研究では,家具・什器の力学特性を考慮しつつ,ダブルインパルス列を応用した手法によって,転倒や衝突を誘発させる床応答の特性や転倒限界を解析的に明らかにした.この内容を,日本建築学会構造系論文集において発表している. 重篤応答を実現する入力波の推定手法の実験的検討に先立ち,NSBCによって非線形構造物を積載した振動台を高性能で制御できることも示しており,その実験的検討の準備も整った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単層・3層構造物に重篤応答を実現する入力波の推定手法を構築し,その有効性を検証するための振動台実験の準備も整ったため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,事前に想定した履歴特性に基づいて作成された入力地震動を,実際の単層・3層の非線形構造物に対して,実験的に作用させることで,想定された履歴特性の現実味を評価する.また,本研究で開発した入力波の推定手法は,対象とする構造物の数値解析モデルに依拠しているため,実際の構造物とのモデル化誤差が不可避に生じる.これに関しても,実験結果と数値解析結果を比較することによって,数値解析のモデリング方法やその影響について検討を加える. 家具・什器の転倒や衝突にかかわる床応答の検討に関しても,さらなる検討を加え,家具・什器に対する重篤応答を実現する入力波を時刻歴波形で同定できる手法を構築する.また,家具・什器の転倒や衝突に関しても実験的に検証することも視野に入れている.
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