研究課題/領域番号 |
22K18854
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分24:航空宇宙工学、船舶海洋工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関根 北斗 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80914077)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | プラズマ計測 / 発光分光 / プラズマ推進 / プラズマ源 / プラズマ科学 / プラズマ分光 / 小型宇宙機 |
研究開始時の研究の概要 |
はやぶさのイオンエンジンに代表される電気推進では,水などの分子性ガスを含む推進剤の多様化が急速に進んでおり,多様なガス種に適合できるプラズマ分光計測手法が求められている.しかし,電気推進のプラズマへの直接的な適用には,断面積データの不足および Maxwell型電子エネルギー分布関数の仮定という問題点がある.本研究では,診断ガスとしてのヘリウムを電気推進プラズマに少量混入させ,ヘリウムの励起光で衝突輻射モデル解析を行う手法を提案する.さらに3組以上のヘリウム線強度比を用いる「多線強度比法」を組み合わせることで,上述の問題を克服した,新しい分光手法の構築を目指す.
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研究実績の概要 |
本年度は,診断ガスとしてのヘリウムをキセノンプラズマに混合し,その自発光スペクトルを解析する実験を実施した.実験は米国プリンストンプラズマ物理研究所のペニング放電装置を用いた.放電パワーは100 W程度,プラズマ閉じ込め用の磁場強度は8 mTとして,電子温度2 eV程度,密度10^16 m^-3程度のキセノン放電を生じ,そこにヘリウムガスを混合した.ヘリウム圧力を変更しながら自発光を分光器にて観測することに成功した.ADASで公開されているヘリウムの衝突輻射モデルを用いて,スペクトル解析(線強度比法)を実施したところ,プローブ計測と良い一致が得られる輝線対を割り出すことに成功した.またその擾乱についても検討し,擾乱が最小限,かつ十分なS/N比が得られるヘリウム圧力を明らかにした.簡便,かつヘリウムの最低励起エネルギーが高いことに由来する擾乱が小さいプラズマ計測手法として,提案手法の適用可能性を示すことができた.本成果は国際専門誌Plasma Source Science and Technologyに掲載された(Plasma Sources Sci. Technol. 33, 045004 (2024)).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究提案時の最大の目的のひとつであった,ヘリウム分光法による異種ガスプラズマ放電におけるプラズマパラメータの推定に成功した.この成果は本研究のアイデアのproof-of-conceptとしての立ち位置にあり,今後のさらなる展開への足掛かりとなる.装置の納品遅れなどによって,さらに難易度の高い分子性プラズマなどさらにほかのプラズマへの応用実験は未完であるものの,総合的には順調に進展していると評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
分子性ガス放電(空気,水など)にも本手法を適用し,プラズマパラメータの推定可否や課題等を洗い出す.非マクスウェル型電子分布関数をもつ放電においての実験も行い,その影響を評価する.
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