研究課題/領域番号 |
22K18855
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分24:航空宇宙工学、船舶海洋工学およびその関連分野
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鷹尾 祥典 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80552661)
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研究分担者 |
村上 勝久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20403123)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 電気推進 / イオン源 / 電子源 / グラフェン / 超小型衛星 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、上部電極をグラフェンとし低電圧作動が可能で推進剤が不要な高電流密度平面型電子源を利用することでイオン推進機の比推力を大幅に向上させる。また、電子透過性の高い保護膜を付けることでプラズマ耐性を高め、イオン源用の電子源としても利用することで効率と安定性のトレードオフ限界克服に挑戦する。これにより、これまで安定しなかった高電流密度モードを実現させることで、小型イオン源の効率の大幅改善を図る。
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研究実績の概要 |
近年、超小型衛星の打ち上げ数が激増しており、大規模コンステレーションや深宇宙探査にも使われ始めている。このような高度なミッションには高い増速量と高い比推力(燃費に相当)を有する推進機が不可欠であり、その筆頭格はイオン推進機である。しかし、小型化すると表面積割合の増加から性能の劣化が避けられず、特に元来小さい電子源(中和器)はなおさらである。 本研究では、中和器側の抜本改善策として、上部電極をグラフェンとし低電圧作動が可能で推進剤が不要な高電流密度平面型電子源を利用することで比推力を大幅に向上させる。また、電子透過性の高い保護膜を付けることでプラズマ耐性を高め、イオン源用の電子源としても利用する。この電子源と金属陰極との併用によりこれまで安定しなかった高電流密度モードを実現させ、イオン源の効率を大幅に引き上げる。効率と安定性のトレードオフ限界を克服することで、従来とは根本的に異なる新しい直流放電型イオン源を創出することを目的とする。 2022年度は、電子源のイオン衝撃耐性向上として、プラズマ耐性のある保護膜(六方晶窒化ホウ素: h-BN)をGOS型電子源へ適用するため、CVDを利用した保護膜プロセスの最適化により、欠陥の無い保護膜付き電子源の作製を行った。一方、電子源の保護膜作製と並行し、まずはフィラメント電子源を利用したイオン源作製を進め、最適な磁場配置および電位構造の設計指針を構築した。それに基づき、作製した超小型イオン推進機の放電実験でプラズマ診断によりポテンシャル構造の把握を行うとともにイオンビーム引き出し実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
簡易的に機械的転写方式で成膜した欠陥を含むh-BNで保護した予備実験において、プラズマにさらしてもグラフェン層が残り、かつ、同程度の効率で十分な電子放出が確認できていた。この保護膜の欠陥を無くすため、化学気相成長法(CVD)を利用した保護膜プロセスの最適化を進めた結果、保護膜成膜は実現できた一方でグラフェンの状態が電子放出を行うほど良い状態にはなっていないように見受けられ、さらなる保護膜プロセスの改良が求められるため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は以下の方法により研究を遂行する。 ①電子源保護膜成膜条件の探索 グラフェンに対する成膜条件を様々に変化させて保護膜を成膜し、加熱酸素環境および酸素プラズマアッシャーによる耐原子状酸素評価を行う。 ②イオン源の改良ならびに放電の解析 昨年度までに作製したイオン源の改良を行い、より低い放電電圧での放電が可能な実験条件を求めることでイオン生成コストを下げる。また、イオンビーム引き出し電流と流量の依存性を把握することで、より高い推進剤利用効率が得られる条件を求める。
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