研究課題/領域番号 |
22K18860
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分24:航空宇宙工学、船舶海洋工学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
東野 伸一郎 九州大学, 工学研究院, 教授 (40243901)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | UAV / 高高度飛行 / インフレータブル翼 / モーフィング / インフレータブル構造 |
研究開始時の研究の概要 |
提案手法の実現のために,展開前には,ビーチマットのように小さく畳んでおいたものを,展開型救命胴衣等に使用されている小型のCO2カートリッジを利用して展開することを基本とした展開型UAVの開発を行う.機体構造としては,ペイロードを翼端や翼のスパン方向に適切に配置したスパンローダー方式とすることによって,マッハ数に応じた安定飛行のために必要な最適形状を,GAやタグチメソッドなどの最適化手法を利用して探索し,風洞試験やシミュレーションによる検討,飛行試験による評価によって実現を目指す.
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研究実績の概要 |
筆者らが開発した南極における高高度大気エアロゾル観測・エアロゾルサンプルリターンシステムにおいて,特に南極冬季の高高度の低温によるマッハ数の低下により,亜音速の固定翼無人航空機では,高速側の飛行領域が狭められ,高度30kmからの亜音速機による滑空帰還は困難であることがわかってきた.これを解決するために,基本的な機体設計は高高度で有利な低アスペクト比の高亜音速~超音速飛行に向いた機体としつつ,低高度では超軽量なインフレータブル構造の外翼を展開することによって重量増加を避けつつアスペクト比を増加させ,基地への帰還に必要な揚抗比を得られる,いわゆるモーフィングによる方式を提案した. このような方式の機体を最適設計するために,南極を含む上空大気の過去の気象データを用い,Digital DATCOMを利用した安定微係数の推定を通じた機体の安定性確保と,それらを利用した滑空シミュレータを開発した.開発した滑空シミュレータを利用し,遺伝的アルゴリズム(NSGA-II)によって,特に高速飛行を行うフェーズにおけるクリップトデルタ型UAVのスパンや翼面積,アスペクト比などの機体外形形態の最適設計を行い,実現可能性のある形態を得た. 一方,外翼部のインフレータブル構造については,まず基本的なインフレータブルチューブの作成方法について試行錯誤し,ポリエチレン等による気密層とナイロン等による強度層の2層からなる構造によって,極めて短時間に展開するインフレータブルチューブを試作することに成功した.このインフレータブルチューブは,展開型ライフジャケット等に利用されている小型の炭酸ガスボンベによって展開することを想定しており,ガス量と内圧,インフレータブルチューブの強度,気密性などについて試験を行い,その基本特性を取得した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は2つの柱からなっている. すなわち,高速飛行を行う際の固定翼無人航空機の形態の最適化と,モーフィングによって低速飛行における揚抗比を確保する際の形態の最適化である.このうちの前者について今年度の研究によって実現可能性のある形態を得られており,おおむね順調である. また,外翼部分のインフレータブル構造については,その基本となるインフレータブルチューブの作成方法を確立し,展開に必要なガス量と,内圧,強度,展開速度などの基本的なパラメータの取得がなされたため,これもおおむね順調である. 飛行試験のベースとなるシステム構築についてはコロナ禍の影響により実施できていないが,致命的ではない.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,低速飛行時のインフレータブル構造外翼部について,高速飛行時のオリジナル部分が加わった状態での最適な形態を決定する.このためには,開発したNSGA-IIによる最適設計ツールに改良を加えることによって実現する. 一方の外翼部分については,インフレータブルチューブの組み合わせ方法,あるいは展開構造ではあるが,別の方式も試行し,翼として成立する方式を確立する.
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