研究課題/領域番号 |
22K18862
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分25:社会システム工学、安全工学、防災工学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
厚井 高志 北海道大学, 広域複合災害研究センター, 准教授 (40845294)
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研究分担者 |
堀田 紀文 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00323478)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 流木災害 / 渓流生態系 / 木材腐朽 / 腐朽クラス / 対象流域法 / 森林構造 / 流木処理 / 根系の補強効果 / LiDAR / 厚真町 / 白老町 / 対照流域法 / 流量観測 / 濁度観測 / 流木 / 流木管理手法 / 防災 / 流域環境保全 / 山地森林流域 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の森林はここ50年あまりで成熟化し,近年では土砂災害時に流木も流下し被害を助長するようになった。一方,流域内に残留した流木は豊かな流域環境の創生に寄与する。したがって,残置を含めた流木管理手法を提案できれば流域環境の保全にもつながる。本研究では,流域内に残留する流木の管理手法の提案を目的として,流木堆積状況の把握,残留流木が流域環境に与える影響評価,流域の地形条件等に応じた残留流木の移動リスク評価を行う。少子高齢化が進むわが国では,効率的な事業投資に対する社会的要請は強い。防災的視点と流域環境の評価とをセットにした流木管理手法を提案し,効率的な防災事業の実現に寄与することを目指す。
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研究実績の概要 |
飛生川流域において,UAV計測を全域で実施し,取得した航空写真画像から,SfMソフト(Pix4Dmapper)を用いてオルソ画像,地形標高モデル(DSM)を作成し,流木の堆積位置,堆積計上を把握した。ハビウ川上流域(非管理流域,管理流域)において対照流域法により流木の有無に着目して流域環境を評価するため,各流域出口付近に量水堰を設置し,合わせて濁度計を設置し,流域環境を計る流出土砂量(濁度))を常時計測した。非管理流域の量水堰付近には土砂量を定量的に推定するために自動採水器も設置した。地震発生時に大量の流木が発生し,そのまま流域内に滞留している非管理流域では,非破壊で木材の腐朽状態を把握できる人力による貫入試験を実施して流木腐朽度を計測した。試験は崩壊斜面,河道内に堆積する計38本の流木を対象として実施し,地震発生から5年が経過した時点での腐朽状態を滞留地点(斜面と河道)の違いと樹種(針葉樹と広葉樹)の違いに着目して定性的かつ定量的に明らかにした。また,管理流域,非管理流域にそれぞれセンサーカメラを設置して,在来種のキタキツネ,エゾタヌキ,外来種のアライグマといった中型哺乳類の出現頻度を把握して,斜面崩壊後の倒木処理が中型哺乳類の生息地選択に与える影響を明らかにした。さらに,ドローン搭載LiDARを用いて,森林流域において地形測量と森林構造を同時に計測する手法の開発を行い,LAIなどを含めて,森林構造を定量的に評価できることを示した。これにより,実測結果に基づいて,森林の影響を考慮した斜面安定解析の実施や,斜面崩壊発生時に供給される流木量の推定が可能となる。また,斜面安定解析の実施にあたり,地中レーダーを用いて推定される根系分布を考慮する手法についても開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ハビウ川の管理流域に設置した量水堰が土砂流出にともない埋没し,合わせて濁度計も埋没したため観測不能となった。埋没した量水堰は2024年5月に移設工事を実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ハビウ川上流域(非管理流域,管理流域)においては引き続き対照流域法により流木の有無に着目して流域環境を評価する。評価は,流域環境を計る指標(正規化植生指数NDVI,流出土砂量(濁度))を定期計測して流域特性を比較する。飛生川においては,流木の移動リスク(または安全性)を評価する。雨量データ,地形量から本研究課題で設定した区域ごとに算定される水理量(等流水深,掃流力,流体力など)との対応を踏まえて流木の移動実態を追跡する。算定した水理量,および2年から400年超過確率規模の降水量から推定した水理量を用い,流木の移動条件,Logjamの破壊条件についても区域ごとに検討して流域内の流木の移動リスクマップを作成する。さらに,検討成果を合わせて,流木管理手法を検討し,流木管理フローチャートを取りまとめる。
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