研究課題/領域番号 |
22K18863
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分25:社会システム工学、安全工学、防災工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小森 大輔 東北大学, グリーン未来創造機構, 特任教授 (50622627)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 低頻度巨大災害リスク評価 / 洪水常襲地 / 寺院の安全性 / 低頻度巨大災害 / 洪水氾濫 / 数値シミュレーション / タイ国 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は現地調査,洪水氾濫解析,寺院の安全性分析から成る.第一に,過去の記録から洪水常襲地を抽出し,その地に古くから建立する寺院にて被災履歴・嵩上げ高さの現地調査をする.第二に,過去50年分の水文気象観測より推定した確率流量を基に洪水氾濫シミュレーションを行う.第三に,現地調査から得られた寺院の嵩上げ高さと洪水氾濫解析から得られた浸水深の確率評価を用いて洪水常襲地に建立する寺院の安全性を分析する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,緩流河川であるタイ国チャオプラヤ川流域の洪水常襲地に古くから建立する寺院の嵩上げ高さから,寺院空間の安全性を担保しうる立地特性を明らかにし,高田・桑子(2016)の仮説「ある土地において信仰上の重要な役割を持つ神社は,自然災害発生時においても安全性を担保しうる立地特性を有している」を実証することが目的である。 洪水常襲地の抽出に関しては、過去の浸水域(中村・小森ら, 2012)を基に、洪水常襲地を抽出しデータベース化した。対象地域として、チャオプラヤ川下流域のアユタヤ市(17寺院)、チャイナット市(18寺院)、中流域のナコンサワン市(17寺院)、スコータイ市(24寺院)、上流域のチェンマイ市(17寺院)の洪水常襲地を選定し、対象地域に古くから建立する寺院(計83寺院)を特定した。 洪水氾濫解析に関しては、これまでに収集した現地現業機関による過去50年分の水文気象観測データより確率降水量および確率流量を算定した。これらの確率水文量を基に洪水氾濫シミュレーションを行うために、チャオプラヤ川流域における土地利用情報を収集・データベース化し、降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)を用いて、特定した寺院における洪水氾濫解析を進めた。 現地調査に関しては、上述した特定した寺院における浸水深の確率評価を参照しながら、対象寺院の過去の被災履歴・嵩上げ高さの現地調査をするとともに、現地自治体や地域住民に被災経験の有無や自然災害に対する意識に関してヒアリングを現地協力研究者と合同して実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、特定したチャオプラヤ川上・中・下流域の洪水常襲地域に建立する83寺院101仏塔における洪水氾濫解析を進め、特定した寺院の過去の被災履歴・嵩上げ高さの現地調査を実施した。 洪水氾濫解析に関しては、例えばチェンマイ市では元来水田であった地域の宅地化に伴い洪水時の一時洪水貯留量が減少し,その結果,都市部に洪水常襲地が形成された事例が2005年以前に多く存在した。一方,水田の宅地化が一層と進み,そのような地域に洪水常襲地が形成される事例が2005年以降は多く存在したことがわかった。 現地調査においては,対象寺院で近年に浸水被害を受けた寺院は74寺院(88%)であり、その内51寺院(69%)は2011年洪水が近年の既往最大浸水深であった。対象寺院に建立する101仏塔の内、近年の既往最大浸水深より高くの嵩上げされた仏塔は73仏塔(72%)であり,浸水被害後に新たに仏塔が建立する場合はされた事例では既往最大浸水深の高さに嵩上げする事例が多いことが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、特定した寺院における浸水深の確率評価を完了させ、寺院の安全性の定量化に取り組む。 浸水深の確率評価に関しては、算定した確率降水量および確率流量を基に、特定した寺院における浸水深の確率評価を実施する。 現地調査に関しては、現地自治体や地域住民に被災経験の有無や自然災害に対する意識に関してヒアリングを現地協力研究者と合同で行う。 寺院の安全性の定量化に関しては、特定した寺院の安全性を、現地調査で得られた寺院の嵩上げ高さと浸水深の確率評価を用いて定量化する。 これらの研究活動は、都度、オンライン会議システムにて現地協力研究者と研究会を行いお互いの研究進捗を共有し、研究を推進する。
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