研究課題/領域番号 |
22K18870
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分25:社会システム工学、安全工学、防災工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山口 弘誠 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90551383)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 外れ予測 / アンサンブル予測 / 豪雨予測 / 線状降水帯 |
研究開始時の研究の概要 |
激甚な豪雨災害が頻発する中、線状降水帯の予測は極めて困難である。そこで、いっそのこと“予測は外れるものだ”という前提に立ち、“予測が外れることを予測”してみてはどうかと考える。特に、防災の観点から、予測が危険側に外れる(すわなち過小予測であったということ)兆候を捉えることを試みる。たとえ定性的な情報であったとしても、予測が過小・過大のいずれに外れるのかというリスク情報が、予測困難な現象に対するベターソリューションと考える。加えて、本当の意味での最悪シナリオとしての豪雨予測情報を創出することにも挑戦する。
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研究実績の概要 |
本研究は,アンサンブル予測情報を高度に活用した線状降水帯豪雨の発生・継続リスク情報を創出することを目的とする.昨年度までに,予測更新に伴う予測不確実性増幅増大指標GFUを考案し,実利用可能性を検討した.その結果,前線本体に付随する大きなスケールの線状降水帯豪雨ではGFUを用いることで“予測が外れること”を確かに予測できることを示し,現業のMEPSを用いて予測が過小側に外れるリスクがあるという心構えの情報を半日程度前から出すことができることを示した.そこで本年度は,リアルタイム利用を想定して,GFU算出の際の上流域を選定する手法の開発に取り組んだ.具体的には,予報感度解析手法を応用することで,水蒸気流入のGFUを算出する上流域を客観的に抽出する手法を構築した.雲解像モデルCReSSを用いて独自に実施したアンサンブル予測計算データ,および,2019年より現業配信されている気象庁メソアンサンブル(MEPS)を用いた解析をそれぞれ行い,アンサンブル予報感度解析手法(Enomoto et al. 2018)を用いて,上流域を抽出した.2020年の球磨川豪雨事例においては,九州の南西方向の海上エリアの感度が大きいことが示され,客観的に抽出した上流域のGFUを予測に用いた場合でも,およそこれまで主観的に決めていた上流域の位置と同様の位置であった.このことから,GFUを用いた防災情報のリアルタイム利用可能性をよりいっそう示すことができた.一方,局所的なバックビルディング型の線状降水帯豪雨(メソ対流系)の場合,予測モデルの水平解像度が重要であり,現業のMEPSから算出したGFUでは予測可能性は比較的低いものの,高解像度のアンサンブル予測データを用いることで予測可能性が向上することが期待できることも示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに開発したGFU指標をリアルタイムに使用するために要となる水蒸気流入の上流域を客観的に選定する手法を開発することができた.これまでの主観的な手法を支持する結果であるとともに,今後は自動的に抽出できるため,リアルタイム利用の可能性を占めることができたことが大きな成果であった.
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今後の研究の推進方策 |
多くの事例に適用し,防災情報としての利用価値を考察する. 大きなGFUが発生した際のアンサンブル予測の各メンバーにおける積乱雲群間の相互作用におけるマルチフラクタル解析を行い、自己組織化への状態遷移を決定づけるフラクタルの素因を明らかにする。
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