研究課題/領域番号 |
22K18871
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分25:社会システム工学、安全工学、防災工学およびその関連分野
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
鈴木 素之 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (00304494)
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研究分担者 |
田口 岳志 秋田大学, 理工学研究科, 助教 (00452839)
楮原 京子 山口大学, 教育学部, 准教授 (10510232)
長井 正彦 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (20401309)
太田 岳洋 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (50425998)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 土石流 / 発生サイクル / 土砂堆積速度 / 年代測定 / 切迫度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、近年多発する土石流災害の発生予測を目的として、土石流危険渓流で豪雨時に流出する恐れのある不安定土砂の堆積プロセスを解明し、次の土石流が最も早く発生する時期を予測する。また、それに土石流発生間隔を考慮してモデル化し、土砂災害の切迫度を算定するシステムを開発する。土石流頻発箇所での年代測定等による“スポットデータの集積”と衛星リモートセンシング解析による“広域かつシームレスなセンシング”を融合して発展させることで、全国に無数存在する渓谷に対する多点モニタリングシステムが構築される。究極的に過去の災害イベントの状況や傾向を解き明かす『時間防災学』の研究ベクトルを将来の災害予測に転換する。
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研究実績の概要 |
平成30年7月豪雨により土石流が発生した広島市東区福木トンネル上方の渓流において現地調査を実施した。渓流の露頭において土石流堆積物とみられる砂礫層、シルト層、腐食土層を確認し、それらに含まれる炭化物16点を採取して、放射性炭素年代測定を実施した。その結果、腐植土層の年代は1300年代後半から1400年前半の年代であり、その下位の砂礫層(土石流堆積物)の発生時期はその直前(1300年前半の年代)と推定された。また、シルト層の年代は1428-1460年であり、腐植土層よりやや上位にあることから、年代的に整合していることがわかった。また、令和元年東日本台風により土砂・洪水氾濫が発生した宮城県伊具郡丸森町において過去に土石流災害が発生した箇所(五福谷川遊砂地、薄平沢砂防堰堤、不動尊砂防堰堤)を概略調査し、詳細調査のための基礎データを取得した。その他、山口県岩国市の花崗岩地域の土石流発生渓流において表層崩壊箇所の地形・地質と土壌層の構造、形成機構の関係を検討した。また、変成岩地域の調査対象渓流を選定し、予備調査を行った。山地内の不安定土砂量を把握する方法については、10mDEMを用いた地形解析による崩壊地の地形指標の分布の関係を検討した。また、平成30年7月豪雨で発生した広島県呉市の土砂災害を対象に、ALOS-2(SAR衛星)を用いて差分干渉SAR解析(DInSAR)を実施し、被災地の検出を試みた。また、砂防堰堤の情報と比較しながら、土砂災害の予兆の有無についても検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広島市東区での調査結果から、腐食土層が土石流の発生時期を推定するキーとなる層であることを確認した。また、土層厚さ(基盤からの高さ)を測定したので、土砂堆積速度の概算が可能となった。また、宮城県丸森町において土石流災害が発生した数箇所を調査候補地として選定した。花崗岩地域における表層崩壊箇所の土壌層の特徴を非崩壊箇所のそれと比較・検討することで、その相違が植生によることを明らかにした。変成岩地域での深い崩壊がトップリング変形を受けた斜面であることを把握した。山地内の不安定土砂量の解析に関しては、地表形状の変化から崩壊発生以後の数年から10年間における移動を正確に見積もるため、簡易型小型LiDARの実装と2014年に土石流が発生した渓流での試験計測を行った。簡易型小型LiDARの可搬性が優れ、ベンチマークの設置に工夫が必要であるものの、センチメートルのオーダーでの計測も可能であることが分かった。衛星リモートセンシング解析に関しては、長期間のALOS-2データを用いて、干渉SAR解析によるコヒーレンス値から地表面変化を検出した。また、実際の災害やその他のGISデータと比較して予兆の有無について検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
渓流における堆積土砂のサンプリング調査に関しては、花崗岩が主に分布する地域の渓流露頭において100年以内の比較的若い堆積物の年代測定に137Csが適用できるかどうか検討する。また、土壌層の形成サイクルの把握や斜面の重力変形過程の把握に10Beなど他の放射性同位体による年代測定の適用性を検討する。過去の土石流発生箇所においてジオスライサーによる地層剥ぎ取りを実施する予定である。衛星リモートセンシングとドローンによる不安定土砂の空間分布解析に関しては、昨年度、試験的に計測を行った渓流において、簡易型小型LiDARでの計測を再度実施し、土砂移動形態を把握することに努める。また、差分干渉SAR解析の結果の検証を実施すると同時に、砂防堰堤や斜面の傾斜等との関連性を検討する。土石流災害切迫度を算定するモデルの構築とシステム化に関しては、既知の土石流発生サイクルと上記で調査した結果を総合的に分析して、予測モデルを構築し、土石流災害切迫度を算定するフローを検討する。
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