研究課題/領域番号 |
22K18875
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大野 宗一 北海道大学, 工学研究院, 教授 (30431331)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 核生成 / フェーズフィールド法 / 分子動力学法 / 機械学習 / サロゲートモデル / 熱揺らぎ / ノイズ / 核生成シミュレーション / ベイズ推定 / サロゲートモデリング |
研究開始時の研究の概要 |
高品質な金属材料や革新的新材料の開発・製造において組織制御は重要課題である。そのために、核生成を高精度にシミュレートできる計算材料科学手法の開発が求められている。本研究の目的は、金属材料の凝固における核生成を高速かつ高精度に計算する手法の構築である。そのために、原子シミュレーション、組織シミュレーション、そしてデータ科学・機械学習を融合して新しいマルチスケールの手法を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、金属材料の凝固における核生成を高速かつ高精度に再現・予測する手法の構築である。そのために原子シミュレーション、組織シミュレーション、そして機械学習等を駆使して、原子間ポテンシャルの情報のみから実プロセスのスケールの核生成を予測可能な新しい手法の開発を試みる。具体的には、「分子動力学法(MD)で計算した原子スケールにおける核生成挙動」の計算結果から、「データ同化によるパラメータ推定」を用いて、組織レベルの「フェーズフィールド法における核生成ノイズ」の性質を明らかにする。そして、その性質の推定結果を機械学習し、「核生成ノイズのサロゲート(代理)モデル」を構築する。 本年度は、前年度に引き続き「分子動力学法による原子スケールにおける核生成挙動の計算」を実施した。特に、Ni-Al合金におけるNi-rich fcc固溶体の核生成を1000万原子系で調査し、特にAl濃度の変化に伴う核生成挙動の変化を詳細に調査した。その結果、本研究で調査した濃度範囲ではいずれも過冷液相からはまずbcc相が核生成し、そのbcc相がfcc相に変態することで最終的にfcc多結晶組織が形成することが明らかになった。また、Al濃度の増加とともにbccの核生成頻度が増加することも明らかになった。 上述の分子動力学法による核生成の調査の一方で、「フェーズフィールド法における核生成ノイズ」の性質について詳細に調査を進めた。そのノイズの大きさと核生成頻度の関係を系統定期に調べ、機械学習によるサロゲートモデリングを試験的に実施した。その結果、核生成に関する所望の統計的性質を再現可能なサロゲートモデルが開発可能であることが示された。また、データ同化を使わずとも分子動力学法の核生成頻度を再現するサロゲートモデリングが可能であることも分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分子動力学法とフェーズフィールド法のそれぞれにおいて目的とする解析を実施することができた。また、両者をつなくサロゲートモデリングの際にデータ同化は不要であり、所望の核生成頻度を直接用いることができることを示された。これらのことよりおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
分子動力学法による核生成のシミュレーションから核生成の統計的挙動をより詳しく解析し、それらをフェーズフィールド法のレベルで再現する熱揺らぎのサロゲートモデルを完成させる。
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