研究課題/領域番号 |
22K18880
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大内 隆成 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (50555290)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | カルシウム / 製錬 / リサイクル / 溶融塩 / 電気化学 |
研究開始時の研究の概要 |
「高純度金属カルシウム(Ca)の高効率・低環境負荷・低コスト製造およびリサイクル」を可能とする技術革新を目指した研究を行う。歴史上、高純度の金属Caを高効率に得る方法は存在しない。金属Caの高い反応性と、溶融塩への高い溶解度から、電解還元反応の電流効率は非常に低く、さらに、真空蒸留による不純物除去工程が必要なため、製造工程におけるエネルギー効率が低いことが課題である。本研究では、研究代表者が過去に取り組んでいた、溶融塩と金属Ca合金を用いる二次電池開発で得た知見を活かし、「Caの溶融塩への溶解現象の制御」により「高純度Caを高効率に製造可能とする革新的プロセスの開発」を目指す。
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研究実績の概要 |
高純度金属カルシウム(Ca)の高効率・低環境負荷・低コスト製造およびリサイクルを可能とする技術革新を目指した研究を行う。本研究が進展すると、先端デバイス、クリーンエネルギーデバイスなどに不可欠な希土類金属(レアアース)やチタンなどのレアメタルの製錬・精錬プロセス、およびリサイクルプロセスに革命を起こし、持続性と科学技術の発展が両立した社会の構築に大きく貢献する。高純度の金属Caを高効率に得る方法は存在しない。金属Caの高い反応性と、溶融塩への高い溶解度から、電解還元反応の電流効率は非常に低く、さらに、真空蒸留による不純物除去工程が必要なため、製造工程におけるエネルギー効率が低いことが課題である。本研究では、申請者が過去に取り組んでいた、溶融塩と金属Ca合金を用いる二次電池開発で得た知見を活かし、「Caの溶融塩への溶解現象の制御」により「高純度Caを高効率に製造可能とする革新的プロセスの開発」を目指す。 これまでの研究では、実験設備および特殊な電気化学セルの設計と作製を行った。さらに、既存の熱力学的データを用いて、Caを高純度化するための溶融塩の候補を選定し、候補となる溶融塩を用いて、Caの析出や溶出に関する電気化学的挙動を詳細に解析した。今後は本研究で提案する高純度化技術と組み合わせ、Caの高純度化と製造効率の向上を両立した新手法を実証していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高純度金属カルシウム(Ca)の高効率・低環境負荷・低コスト製造およびリサイクルを可能とする技術革新を目指した研究を行っている。 極めて反応性が高く、扱いの難しい金属Caおよびカルシウムハライド溶融塩を用いるプロセスを検証する実験のため、反応系の雰囲気制御(水分制御)を可能とする実験設備を作製した。また、カルシウム合金の作製のため、アーク溶解炉を導入した。 カルシウム合金と溶融塩界面での電気化学反応を詳細に検討可能な電気化学セルを構築し、これまでに複数種の混合溶融塩中での電気化学的挙動を調査し、その特性を比較した。さらに本研究で提案する新しい高純度化技術についてその耐久性や効率について検証を進めている。 研究の進捗は当初の予定通りであり、今後は、これまでに構築した実験系を用いた電気化学的評価に加え、カルシウム酸化物および金属Caの溶解度などの基礎的な物性を評価する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、Ca-Biなど様々な2元系合金、多元系合金について、これまでに確立した実験系を用いて電気化学的解析を進める。同時に、提案している分離膜を用いてCaのみを選択的に抽出・分離する革新的な手法について検討する。 候補として検討している溶融塩中へのカルシウム酸化物および金属Caの溶解度などの基礎的な物性を評価する。さらに、Ca電解析出反応ならびに合金中のCaの拡散速度など速度論的パラメータの評価に取り組む。以上を系統的に評価・比較することで、高効率な製造と高純度化を実現するプロセスの設計を目指す。
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