研究課題/領域番号 |
22K18881
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
片瀬 貴義 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (90648388)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | 熱伝導率 / 構造転移 / 薄膜トランジスタ |
研究開始時の研究の概要 |
膨大な未利用熱の効果的な削減・有効利用に向けて、外場により、固体の熱伝導率を大きく制御可能な熱スイッチ素子が求められている。本研究では、応募者が実現した、結晶構造の次元性を人工的に変化させる「2次元(2D)-3次元(3D)構造転移材料」を用いて、熱伝導率を大きく制御可能な熱スイッチ素子の開発に挑戦する。
|
研究実績の概要 |
初年度は、層状2DSnSeと岩塩型3DPbSeの非平衡固溶体(Pb1-xSnx)Seについて、エピタキシャル薄膜の作製とキャリア輸送特性の評価を行い、次いで薄膜トランジスタの試作まで行った。まず、パルスレーザー堆積法によりPbSeエピタキシャル薄膜/SnSe多結晶膜の2層膜をMgO(001)単結晶基板上に成膜させた。その後、Ar雰囲気の石英ガラス管に封入して、高温で固相反応させた後に急冷し、高温非平衡相(Pb1-xSnx)Seを室温に凍結させた。各PbSe/SnSe膜の成長条件と熱処理温度を最適化することで結晶配向性を大きく向上させることができた。また、Sn組成xの増加に伴って2D-3D構造転移温度が上昇し、最大で5桁を超える巨大な抵抗変化を示す(Pb1-xSnx)Seエピタキシャル薄膜を作製することに成功した。X線回折の温度依存性から、室温では3D構造相の分率が100%であったのに対して、降温とともに3D構造から2D構造へ相転移し、20Kでの2D構造の相分率は92%に到達した。その後、140Kまで昇温すると再び3D構造へ転移して元の相分率に戻ることが分かった。次に、相境界組成の(Pb0.5Sn0.5)Se薄膜を用いた薄膜トランジスタを作製した。具体的には、メタルマスクを用いて(Pb0.5Sn0.5)Se薄膜の活性層を形成し、イオン液体をゲート絶縁層とする強電界印加が可能な電気二重層トランジスタを作製した。負のゲート電圧を印加することで、約3桁抵抗が減少し、電圧をOFFすることで元に戻ることが確認され、印加電圧の大きさによって抵抗変化率を制御できることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、非平衡(Pb1-xSnx)Seエピタキシャル薄膜の作製・評価と薄膜トランジスタの試作まで進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度に実現した(Pb1-xSnx)Seエピタキシャル薄膜と薄膜トランジスタについて、2D-3D構造転移による電気抵抗・熱伝導率の変化とサイクル特性を評価していく。
|