研究課題/領域番号 |
22K18914
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
北野 政明 東京工業大学, 元素戦略MDX研究センター, 教授 (50470117)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 酸素欠陥 / ナトリウムナフタレニド / 異種アニオン導入 / 触媒界面 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、強力な還元剤であるナトリウムナフタレニドを利用した室温での液層還元法により金属酸化物表面に高密度に酸素欠陥を形成し、その酸素欠陥サイトを異種アニオン導入の足場として利用することで新規固体触媒の合成を行う。本手法により酸化物の結晶構造、比表面積、表面ナノ構造を損なうことなく酸素欠陥を導入し、不安定な表面の異種アニオン導入による表面構造安定化を駆動力として異種アニオンを高密度ドープする。
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研究実績の概要 |
本研究では、強力な還元剤であるナトリウムナフタレニドを利用した液層還元法により金属酸化物への高濃度酸素欠陥導入を行い、その酸素欠陥を異種アニオン導入の足場として利用することで高濃度に異種アニオン種を導入した新規固体触媒の開発を行うことを目的としている。本年度は、二酸化チタンをナトリウムナフタレニドで処理することにより、室温で高濃度に酸素欠陥を導入でき、材料の比表面積を損なうことなく酸素欠陥型酸化チタンの合成に成功した。本手法により合成した酸素欠陥型酸化チタンの酸素欠陥量は、およそ700℃で水素還元処理した二酸化チタンと同程度であった。さらに、その材料を用い、リン酸水溶液で処理すると、通常のリン酸担持酸化チタンよりも6倍量のリン酸を固定できることを明らかにした。通常のリン酸担持酸化チタンでは、二酸化チタン粉末をリン酸水溶液に浸漬させ1日から一週間程度浸漬時間を増やしても導入できるリン酸基の量は最大で1wt%程度であったが、ナトリウムナフタレニド還元法により酸素欠陥を導入した酸化チタンでは、リン酸水溶液中での浸漬時間が、1日であるが遙か多量のリン酸基を導入できる。このような材料を触媒として用い、キシロースからフルフラールへの変換反応を行ったところ、通常のリン酸担持酸化チタンよりも高い選択性でフルフラールが得られ、導入したリン酸基量が多い触媒ほど高選択的にフルフラールを合成できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、ナトリウムナフタレニドを用いた液相還元法により、原料酸化物の比表面積を損なうことなく、高密度に酸素欠陥を導入することに成功しただけでなく、その酸素欠陥を足場とすることでリン酸基を酸化物表面に多量に導入することに成功した。本材料は、キシロースからフルフラールへの変換反応を促進する固体酸触媒として機能し、従来の触媒よりも高性能であることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、主に二酸化チタンを原料として、酸素欠陥導入を行いナトリウムナフタレニドを用いた還元条件などを詳細に調べた。今後は、多の金属酸化物にもこの手法が適用可能かなども検討し、リン酸基以外の異種アニオンの導入も試みる。また、他の様々な触媒反応にも適用することを検討し、従来触媒との触媒特性の違いにつても各種分光装置を用いて調べる計画である。
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