研究課題/領域番号 |
22K18920
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森 浩亮 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90423087)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 重水素 / ギ酸 / 合金ナノ粒子 / 表面修飾 / ナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
i)新触媒(協奏界面)設計・開発として合金ナノ粒子、塩基性反応場の精密制御からアプローチし、1年目は、ii) ギ酸-D2Oを利用した重水素ガスの選択合成、2年目はiii)重水素標識化合物の簡便合成をターゲット反応とする。また、3年目はiv)反応制御の学理構築を目指す。いずれも同研究室の大学院生の協力のもと遂行する。
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研究実績の概要 |
本年度は、令和4年度に続き、新規合成したナノ構造触媒を用いて、基本的な反応パラメーターを含めて触媒性能を精査し、最適性能を発揮できる触媒と反応条件の組み合わせを検討した。加えて、未検討事であるサイズ・形状・組成・構造を精密制御した合金ナノ粒子の影響も調査した。 さらに、ギ酸-D2Oを重水素源とし、合金ナノ粒子の水素化能を利用した重水素標識化合物の簡便な合成法の確立も検討した。本技術を最終的には狙った位置に選択的にD原子を導入できるピンポイント重水素化へと発展させる。例えば、C=O結合の水素化は、C=C二重結合水素化に比べて熱力学的に不利であるため不飽和カルボニル化合物のC=Oのみを選択的に水素化する技術が望まれている。申請者は電子豊富なカルボニル基吸着サイトと、電子欠損のC=C二重結合配位サイトが隣接した触媒表面を創成できれば、反応の加速はもとより、飛躍的な選択性の向上が狙えると考えた。 そこで、金属合金ナノ粒子/塩基性担体表面を利用して、電子的配位子効果によりC=Oのみを貴金属活性点に選択的に吸着させる分子認識能を発現させ、C=O結合のみ選択的な重水素化を検討した。具体的にはサイズ・形状・組成・構造を精密制御した合金ナノ粒子を触媒に用いると80%程度の選択性で望みの重水素標識化合物が合成できることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本ターゲット反応は、金属合金ナノ粒子/塩基性担体上での協働効果によるギ酸(HCOOH)の活性化、生成した活性水素種の重水(D2O)によるH-D交換反応により進行する。特に選択性の支配因子であるH-D交換反応の完全制御が最大の課題である。これは極めてチャレンジングではあるが、その実現により得られる知見は全くの未知であり学術的価値は高い。今年度は未検討事であるサイズ・形状・組成・構造を精密制御した合金ナノ粒子を触媒に用いると80%程度の選択性で望みの重水素標識化合物が合成できることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
各種分光学的手法を駆使して、触媒活性種近傍の微細構造と触媒機能の関連を明確にし、更なる高性能触媒の設計指針にフィードバックする。特に、固体表面上のH-D交換反応をin situでのFT-IR、水素TPRなどを駆使して解明する。また、申請者が特異とするXAFS測定では様々な反応ステージでの測定によって、反応中間体の微細構造をも高精度で決定することを試みる。加えて量子化学計算からもアプローチし、触媒機能と表面吸着種(H/D)の反応制御の学理を確立する。
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