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気液二相流により分子集合ダイナミクスを制御する脂質ナノ粒子の革新的製造プロセス

研究課題

研究課題/領域番号 22K18923
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分27:化学工学およびその関連分野
研究機関山口大学

研究代表者

吉本 誠  山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (80322246)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワード脂質ナノ粒子 / 酵素 / カチオン性脂質 / マイクロ流路 / 気液二相流 / 荷電脂質 / 気泡塔
研究開始時の研究の概要

本研究では,医薬や触媒等としての機能をもつ生体高分子を安定かつ高効率に内包できる直径100 nm程度の脂質粒子を製造するための新しい工学的手法について検討する。具体的には,液体に気泡群を連続送入したときに形成される気液二相流を応用して,脂質分子の集合状態や生成粒子の大きさ,均一性等を制御する手法について検討する。これらに基づき,脂質分子の集合特性に及ぼす気泡群や液体せん断ストレスの効果を解明して,脂質ナノ粒子の高効率製造プロセスへ応用する。

研究実績の概要

令和5年度は,カチオン性脂質,脂質膜安定化剤,合成高分子修飾脂質,双性脂質から構成される脂質ナノ粒子の形成とその際の粒子内への酵素の内包に関する詳細な検討を行った。粒子生成方法として,pHが制御された酵素の水溶液と上述の混合脂質を溶解させたエタノールの二流体混合法を主として採用した。この方法は,酵素を内包させたリポソームを調製するために用いられる従来法に比べて,操作時間を著しく短縮できる。また,気液混合法よりも実用的に有利な可能性がある。このため,二流体混合法により,酵素を内包させた脂質ナノ粒子が安定に生成する可能性について詳細に検討した。酵素を内包させた脂質ナノ粒子の調製と精製に要する全操作時間を従来の酵素封入リポソームの調製・精製法と比較した。具体的な内容を下記に示す。
(1) マイクロ流体デバイスの操作性を向上させて,各流体の流速を精密に制御するとともに,生成した脂質ナノ粒子の特性の再現性についても評価を行った。
(2) 酵素を内包した脂質ナノ粒子と液本体の酵素を分離する手法について,特に,令和5年度に主として適用した透析法の有効性について評価した。
(3) 酵素を含有しない水相と混合脂質を含有するエタノールを混合したところ,酵素を共存させた場合に比べて小さな脂質ナノ粒子が生成した。これらの結果に基づき,二流体混合法による脂質ナノ粒子の形成における酵素分子の役割を検討した。
(4) 精製した脂質ナノ粒子の酵素活性をコール酸ナトリウムで溶解した際の活性と比較して,脂質ナノ粒子内における酵素分子の存在位置を考察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

二流体混合法を用いた,酵素を内包させた脂質ナノ粒子の調製は困難が予想された。しかし,本研究で選択した酵素の水溶液を特定の条件で脂質含有エタノールと混合すると脂質ナノ粒子に酵素が内包される可能性が示された。このため,二流体混合法による脂質ナノ粒子の生成メカニズムについて詳細に検討を行った。これらは,粒子の調製時間や使用する装置の点で多くの利点がある。当初想定した方法とは異なるが,目的としているサイズ制御された酵素内包脂質ナノ粒子の生成は達成しつつあるため,おおむね順調であるとした。

今後の研究の推進方策

二流体混合法により,生成させた脂質ナノ粒子の内部構造については,明らかにすべき点が残されている。カチオン性脂質と酵素分子間の静電相互作用が脂質粒子の粒子径に及ぼす効果等について検討を行う。さらに,脂質ナノ粒子に内包されない酵素の分離方法の高効率化や粒子生成に及ぼす気液界面を含む流動場の効果にも着目して研究を行う。以上の検討により,最終年度となる令和6年度に,安定な酵素内包脂質ナノ粒子の製造方法を確立することを目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Gas-Liquid Flow-Induced Characteristics of Dispersed Liposome-Based Particles2023

    • 著者名/発表者名
      Makoto Yoshimoto
    • 雑誌名

      Chem. Eng. Technol.

      巻: 46 号: 9 ページ: 1741-1755

    • DOI

      10.1002/ceat.202300063

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Immobilized Phosphoenolpyruvate Carboxylase Beads for Catalytic Carboxylation in Carbon Dioxide-Containing Gas-Liquid Flow2023

    • 著者名/発表者名
      Fumiya Tanaka and Makoto Yoshimoto
    • 雑誌名

      Ind. Eng. Chem. Res.

      巻: 未定 号: 22 ページ: 8621-8634

    • DOI

      10.1021/acs.iecr.3c00715

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Immobilization of urease-encapsulated liposomes onto microbeads using avidin-biotin affinity2023

    • 著者名/発表者名
      Shinya Okano and Makoto Yoshimoto
    • 学会等名
      13th International Congress on Membranes and Membrane Processes (ICOM2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Effect of lipid membrane properties on the structure and catalytic activity of papain immobilized onto liposomes2023

    • 著者名/発表者名
      Yuya Takahashi, Azusa Takahashi, Noriko Yoshimoto and Makoto Yoshimoto
    • 学会等名
      13th International Congress on Membranes and Membrane Processes (ICOM2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 高分子修飾脂質膜の表面に共有結合させたトリプシンの安定性と酵素活性2023

    • 著者名/発表者名
      若林 実稀也,髙橋 友也,吉本 誠
    • 学会等名
      化学工学会第54回秋季大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ラクトース変換逐次反応のためのグルコース脱水素酵素とβ-ガラクトシダーゼのリポソームへの共固定化2023

    • 著者名/発表者名
      穐本皓太,吉本 誠
    • 学会等名
      日本膜学会「第45年会」・「膜シンポジウム2023」合同大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] エタノール-水混合法による酵素含有脂質ナノ粒子の調製と特性2023

    • 著者名/発表者名
      成田崚冴,吉本 誠
    • 学会等名
      日本膜学会「第45年会」・「膜シンポジウム2023」合同大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-07-05   更新日: 2024-12-25  

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