研究課題/領域番号 |
22K18927
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
三浦 大樹 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (20633267)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 高分子分解 / 触媒的解重合 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋ゴミとして蓄積される廃棄ポリエステル(PE)が生態系に大きな悪影響を与えていることが今や世界的問題となっている。本研究では、ポリエステルを解重合しつつ、そのモノマーユニットを高付加価値有機分子へと直接変換できる触媒系を開発することで、廃棄PEに対して革新的な使用途を与えることを目的とする。廃棄PEの新しい用途として有用化成品の優れた供給源となる化学プロセスの開発が進めば、多量に存在するPEを中心とした新しい資源循環体系や、そこから誘導される化成品化学の発展が期待出来る。
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研究実績の概要 |
廃プラスチックによる環境汚染は世界的な問題であり、資源保護の観点からもそのリサイクルが求められている。従来のポリエステルのリサイクルはエネルギー負荷が大きいため、温和な条件下でポリエステルを高付加価値化合物へ解重合変換する革新的な触媒反応が望まれている。2022年度はポリエステルに多く含まれるC-O結合の変換に関する新しい触媒反応の開発を進めた。担持Auナノ粒子触媒存在下、ジシランをケイ素源として用いることによりアルキルエステル中のC-O結合のC-Si結合への変換が良好に進行し、対応する有機ケイ素化合物が効率的に変換できることを見出した。本反応はエステルやエーテル中の様々なC-Oを変換可能であった。Auナノ粒子の担体として両性酸化物であるZrO2が最適であったが、詳細な反応機構解析を行ったところ、担体表面の酸点がエステルを、塩基点がジシランをそれぞれ活性化することで反応が良好に進行することがわかった。これらの知見をポリエステルの分解反応に展開したところ、脂肪族ポリエステルであるポリブチレンサクシネートの解重合的シリル化が効率的に進行することがわかった。ポリマー中のほぼ100%のC-O結合がC-Si結合に変換され、対応するジシリルアルカンとコハク酸が高収率で得られた。本成果は担持Au触媒系が非常に優れた実用性を有することを示すものであり、これらについて論文報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は担持Au触媒とケイ素源としてジシランを用いることでアルキルエステル中のC-O結合がC-Si結合へと効率的に変換できることを明らかにした。これまでに均一系触媒を含めて報告例のない極めて挑戦的な課題と認識していたが、本反応に対する触媒および反応条件の最適化が順調に進んだ。さらにポリエステル中のC-O結合の変換への適用も可能であり、ポリマーの解重合と有機ケイ素化合物の合成を同時に行うことができる革新的な触媒反応の開発に至った。数種のポリエステルの解重合が可能であることもこれまでに確認しており、当初の計画以上に研究が進行しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、ポリマーの解重合反応の適用範囲拡大を検討する。これまでに担持金触媒が様々なポリエステルの解重合を進行させることを確認しており、ジシランを変化させることでさらに広範な有機ケイ素化合物の合成を狙う。加えて、ポリカーボネートジオールやポリウレタンなどのポリマーの解重合反応も検討する。一方、C-O結合のC-Si結合への変換に加えて、C-B結合やC-C結合への変換も検討する。モノマーの反応から反応開発を検討し、順調に進めばポリマーの変換にも適用する。
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