研究課題/領域番号 |
22K18928
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
野村 俊之 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (00285305)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 植物病原菌 / 農薬 / 食糧 / 農薬送達システム / キャリアナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
植物病害の防除に用いられる農薬のうち、植物病原菌に到達する農薬は0.1%にも満たない。そこで本研究では、植物病原菌に選択的に送達可能な農薬封入キャリア粒子を用いた植物体外部からの植物病原菌の防除、遺伝物質を封入したキャリアナノ粒子を植物体内に導入して病害の原因となるたんぱく質の生成を阻害することで植物体内部からの植物病原菌の防除について検討することで、農業分野における農薬送達システムPDS技術の実現に挑戦する。
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研究実績の概要 |
植物病害の防除に用いられる農薬のうち、植物病原菌に到達する農薬は0.1%にも満たない。そこで本研究では、植物病原菌に選択的に送達可能な農薬封入キャリア粒子を用いた植物体外部からの植物病原菌の防除、遺伝物質を封入したキャリアナノ粒子を植物体内に導入して病害の原因となるたんぱく質の生成を阻害することで植物体内部からの植物病原菌の防除について検討することで、農業分野における農薬送達システムPDS技術の実現に挑戦する。 2022年度の研究では、エクソソームをキャリア粒子として、遺伝物質を封入したキャリアナノ粒子を植物細胞に導入することで細胞内部におけるサイレンシング誘導について検討を行った。モデル植物細胞として、タバコ培養細胞BY-2、アクチンフィラメント架橋タンパク質に結合した緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する形質転換BY-2細胞(GF11)、モデルdsRNAとして、GFP遺伝子の発現をサイレンシングする人工合成siRNAを使用した。まず、siRNAキャリアとしてエクソソームが使用可能であるかを検討した。膜標識色素を用いてエクソソームを蛍光標識することで、植物細胞内へのエクソソームの取込が確認された。また、取込実験において混入する可能性のある色素凝集体および非小胞夾雑物は取込結果に影響しないことも確認し、結果の妥当性を示した。次に、エクソソームにsiRNAを封入し、植物細胞内へ送達することでGFP遺伝子のサイレンシング誘導を試みた。その結果、エクソソームにsiRNAを封入すると、GFP遺伝子が配列特異的にサイレンシングされることが明らかとなった。以上より、植物細胞へのdsRNAの送達キャリアとしてバイオナノ粒子であるエクソソームが有用であり、標的特異的で遺伝子組み換えフリーのRNAi農薬の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エクソソームにsiRNAを封入すると、GFP遺伝子が配列特異的にサイレンシングされることを明らかにした。これにより、植物細胞へのdsRNAの送達キャリアとしてバイオナノ粒子であるエクソソームが有用であり、標的特異的で遺伝子組み換えフリーのRNAi農薬の可能性が示唆された。以上より、本研究はおおむね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1)農薬封入キャリア粒子を用いた土壌中における植物病原菌の防除について検討を行う。具体的には、植物寄生性センチュウを対象として、農薬封入キャリア粒子の直接効果を確認するとともに、センチュウ汚染土壌を用いた検証実験を行う。また、次世代シークエンサーを用いて散布前後の土壌菌叢への影響についても検討する。 2)dsRNAの送達キャリアとして乳酸・グリコール酸共重合体PLGAへのdsRNAの封入技術を構築するとともに、目的病害虫のサイレンシング誘導による植物病害の防除についても検討する。
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