研究課題/領域番号 |
22K18954
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
山本 貴博 東京理科大学, 理学部第一部物理学科, 教授 (30408695)
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研究分担者 |
松浦 弘泰 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40596607)
是常 隆 東北大学, 理学研究科, 准教授 (90391953)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 熱電物性 / 線形応答理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ボルツマン理論の範疇を超えた熱電現象を開拓するともに、線形応答理論に基づいた熱電応答ソルバーを開発する。以下の2つの項目を実施する。 [項目1] 強く乱れた系の熱電効果 《1-1》 乱れた低次元物質の熱電応答のバンド端効果とバンド間遷移効果(担当:山本)、《1-2》 SB 関係式に基づいた熱電応答ソルバーの開発(担当:是常+山本) [項目2] 相関電子系の熱電効果 《2-1》電子間相互作用によって生じる特異な熱電応答(担当:山本+松浦)、《2-2》電子・フォノン相互作用によって生じる特異な熱電応答(担当:松浦)、《2-3》SB関係式外の熱電効果をソルバーへ導入(担当:是常+山本+松浦)
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研究実績の概要 |
本研究では、ボルツマン理論の範疇を超えた熱電現象を開拓するともに、線形応答理論に基づいた熱電応答ソルバーを開発を進めている。今年度は、次の2つの項目を実施した。括弧内には研究担当者の名前を記す。 [項目1] 強く乱れた系の熱電効果《1-1》 乱れた低次元物質の熱電応答のバンド端効果とバンド間遷移効果(担当:山本)、《1-2》 SB 関係式に基づいた熱電応答ソル バーの開発(担当:是常+山本) [項目2] 相関電子系の熱電効果 《2-1》電子間相互作用によって生じる特異な熱電応答(担当:山本+松浦)、《2-2》電子・フォノン相互作用によって生じる特異な熱 電応答(担当:松浦)、《2-3》SB関係式外の熱電効果をソルバーへ導入(担当:是常+山本+松浦) また、初年度にはキックオフミーティングを行うことで、研究代表者と研究分担者らの研究方針を確認した。さらに、オンラインでの研究成果報告を行うなど、緊密な共同研究を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一原理計算をベースに久保・ラッティンジャー公式に基づいて熱電輸送係数を計算するシミュレーション手法の開発を進めた。特に、温度グリーン関数を虚時間形式のまま計算を実行し、数値的に解析接続する手法を実装し、電気伝導度に対して精度よく計算できていることを確認した。さらに、この手法をもとにワニエ基底に基づくCPAでの電気伝導度の計算を実装し、既存のKKR-CPA計算を概ね再現できることを確認した。他にも、計算コストを下げる工夫として、対称性を活用してワニエ有効模型を構築する手法を開発に成功した。
熱電効果における基本関係式であるゾンマーフェルト・ベーテ関係式での伝導度スペクトル関数をデータ駆動型アプローチにより推定する方法を開発した。この手法を実際の物質(Ta4SiTe4)の実験データに適用することで、現実の系での伝導度スペクトルや化学ポテンシャルの温度依存性を明らかにした。さらに、これらの結果を利用することで、電子の寄与による熱伝導率や無次元性能指数の上限を予測できることを示した。
以上のように、当初の予定通り研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今回開発した手法をゼーベック係数の計算に拡張し、久保公式とワニエ有効模型に基づくCPAをベースにゼーベックを計算する手法の開発を進める。特に、解析接続手法の拡張においては精度に注意しながら開発を行う。また、このコードを土台として、第一原理的に電子格子相互作用やクーロン相互作用を取り込んだ汎用的な熱電輸送係数の計算コードの開発を目指す。他にも、SiGeなどの実際の系への適用を進めることで、定量性の検証や物質探索も行う。
これまでの研究により開発したデータ駆動型アプローチによる熱電解析手法をさらに発展させる。特に、ドーピング依存性が測定された実験データをデータ駆動型アプローチで解析することで、実験で測定されてないドーピング値での熱電性能を予測するための方法論を確立する。さらに、久保・Luttingerによる微視的な熱電解析方法の開発も推進し、データ駆動型アプローチと微視的アプローチとの連携を目指す。
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