研究課題/領域番号 |
22K18966
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
平原 徹 東京工業大学, 理学院, 教授 (30451818)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 物性実験 / 原子層薄膜 / 高温超伝導 / トポロジカル超伝導 / 表面界面 / 原子層物質 / 超伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、トポロジカルな性質を有する高温原子層超伝導体を用いて基板界面を磁性元素で修飾することにより、高密度マヨラナ格子を創製することに挑戦する。研究代表者がこれまで研究してきた単層FeSeはSrTiO3(STO)基板上に成長させることで40-109Kという高い転移温度を示す。本研究ではこれを踏まえ、まず単層Fe(Se,Te)/STOのトポロジカル超伝導としての特性を実験的に明らかにする。さらに、自己組織化によって磁性元素で修飾されたSTO表面を基板として単層Fe(Se,Te)を成長することで、無磁場下でトポロジカル超伝導体に特徴的なマヨラナ状態を高密度で生成することを目指す。
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研究実績の概要 |
SrTiO3(STO)基板上の単層FeSe薄膜は、40 Kという高い転移温度Tcで超伝導を示すことが報告されている。本研究ではこれを単層Fe(Se,Te)薄膜に発展させ、 Fe(Se,Te)のトポロジカル超伝導特性を活用し、さらに自己組織的に磁性元素を並べることで、高温でマヨラナ正方格子を実現することが目的である。 本年度はこの目標に向けて、まずはSTO上の単層Fe(Se,Te)の成長様式の評価と物性評価を走査トンネル顕微鏡/分光(STM/STS)測定で行った。これまでFeTeがFeSeよりも低温の300℃で薄膜成長し、400℃程度の加熱により壊れてしまうことが分かっている。これはSeの方がTeよりも薄膜作製において基板につきやすい傾向があることを示しており、作製された薄膜におけるSeとTeの比が実際に薄膜形成時の比と同じであるかも定かではない。まずはこれらの懸念事項を検討するため、Se:Te:Feの蒸着スピードを4:4:1にして、STO基板温度を300℃に設定して薄膜作製を行った。これまで報告されている、原子分解能像における高さの違いおよび単層と2層目のFe(Se_xTe_(1-x))の高さの違いを参考にして作製した試料のSTM像を丁寧に解析したところ、SeとTeの蒸着スピードと同じx=0.5の試料が形成されていることが分かった。さらにSTSによる電子状態測定によって単層ではFeSeと同じような超伝導ギャップが、2層Fe(Se_0.5Te_0.5)では時間反転対称性を破った表面状態の存在が示唆された。今後これらの興味深い特徴をより詳細に検討すると同時に磁場印加およびFe蒸着によってマヨラナ準粒子の存在を確立し、さらにそれを自己組織化によって大量に生成することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高品質な単層Fe(Se_0.5Te_0.5)薄膜の作製ができた上に電子状態測定で先行研究を再現してさらに新しい知見が得られたので、順調に推移していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた高品質な単層Fe(Se_xTe_(1-x))薄膜の作製条件のさらなる最適化を行い、xによる特性の違いをまず検証する。さらに磁性Fe元素を表面に自己組織化で並べることでマヨラナ状態の検出、およびその高密度集積化に挑戦する。
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